千葉不動産コンサルの日進興業㈱

初心者が不動産投資を始める時の注意点

INDEX

1.不動産投資の心構え
・勉強嫌いな人は、不動産投資をやってはいけない
・不動産投資は、早くから始めた方が良いのはなぜか?
・分散投資、損切りができれば、投資は怖いものなし
・不動産投資家
の実力を簡単に見抜く指標とは?
・本当の利回りは、生涯利益を用いて計算すべき

2.不動産投資の狙い目
・収益物件として買い、実需物件として売るのがお得
・極端な狭小地でも、人通りが多ければ買う価値あり
・駐車場すら難しい狭小地は、貸地にすべき
・不動産投資VSクラウドファンディング

3.不動産投資の落とし穴
・不動産投資は、本当にミドルリスク/ミドルリターンか?
・高利回りの物件だから安心/儲かるとは限らない
・区分マンション投資は、手間なしで初心者向けか?
・ゼロ円空き家だから儲かるとは限らない
・新築1Rマンション投資が儲からない理由
・戸建貸家は、「修繕費のだだ洩れ」に注意

勉強嫌いな人は、不動産投資をやってはいけない

 日本では金利の低下を機に、投資ブームが巻き起こり、サラリーマンを中心に副業としての投資が活発に行われるようになりました。10年国債の利回りを長期に亘って見ていくと、1980年代には6~8%もあったのが、バブル崩壊を機に下降の一途を辿っていきます。1998年には2%を切り、リーマンショック後も下落が続いたので、2016年以降はほぼゼロになりました。

 昔は預貯金や国債のような安心確実な商品でも高利回りを期待できましたが、ここ5~6年は金庫に入れておくのと殆ど変わらなくなってしまったため、よりリスクの高い商品に手を伸ばすようになりました。

 今では様々な投資商品が世に出回っていますが、代表的なものを取り上げると、株式投資やFX、投資信託のような金融商品と不動産に分けることができるかと思います。

 両者を比べると、流動性や価格の振れ幅など色々な面で違いがありますが、手間のかかり方も大きな違いの1つと言えるでしょう。金融商品の場合、口座を開いてから、取引を行い、利益を確定させるまで、早ければ1日でできてしまいますが、不動産の場合はそうはいきません。ポータルサイトやGoogleマップの充実により、物件を探すのはだいぶ楽になりました。が、それでも、物件を探して、買って、最初の家賃が振り込まれるまで、早い人でも1~2か月はかかります。

 利益を得るまでの労力も全然違います。金融商品の場合は、PCやスマホに向かって手を動かすだけですが、不動産の場合は、物件を内見したり、不動産屋に
行って契約したり、賃貸の前にリフォームをしたりとやることが山ほどあります。不動産投資では、これらをきちんとこなすため、1つ1つ勉強をしていかないといけません。これが大変なのです。

 もちろん金融商品でも勉強は必要ですが、勉強の対象領域はかなり限られています。大きくファンダメンタルとテクニカルに分けられますが、それですら、
必ずしも両方やる必要はありません。片方しか勉強していなくても、成果を上げている人は五万といます。金融商品でよく勉強をしている人というのは、大抵は、限られた領域の中をさらに狭く深く掘り下げているような人です。

 これに対して不動産の場合は領域が多岐に亘っており、初心者でも広く浅くの勉強が一通りやらないといけません。勉強すべきことは、建築、設備、融資、税金、キャッシュフロー等の計算、、と色々ありますが、どれか1つでも欠けていると下手を打つことになりかねません。さらにオプションで勉強が必要になることも多々あって、例えば、競売により物件の取得を狙う場合は競売の勉強、賃貸物件の管理を自分でやる場合は自主管理のための勉強が、上記とは別で必要になります。

 また、金融商品の場合は勉強量と成果が必ずしも相関しないので、「何も勉強していないけれど、大儲けした」という人がいる一方で、「毎日何時間も勉強しているけれど、損ばかりしている」という人も沢山います。

 一方で不動産の場合は、そのような話は殆ど聞いたことがありません。大抵は、ちゃんと勉強した人が良い物件を取得して、着実に利益を出しています。
勉強しない人は、お金を生まない物件を掴まされて損をしています。殆どの不動産屋は、重説に書かれた内容は丁寧に説明してくれますが、それ以上のこと、例えば投資対象としてのうまみなどは説明してくれません。意図的にそうしているというよりは、寧ろ能力的にそのような説明ができないと言った方が良いかもしれません。
 
 宅建士として経験豊富なことと、不動産投資家としてレベルが高いということは、全く次元が異なる話と思った方が良いです。
これは、証券会社の経験豊富な営業マンが、必ずしも株式投資に通じているとは限らないのと同じです。営業マンと投資家は、同じ土俵で一緒に仕事をしていても、頭の中で考えていることは全く違います。不動産屋は転売による売却益や仲介手数料の最大化を追求していますが、不動産投資家は利回りの最大化を追求しています。

 このように不動産は、努力を積み重ねた人にしか勝利の女神は微笑まないので、勉強が嫌いな人は手を出さない方が良いでしょう。日々の地道な努力の積み重ねが嫌だ、一獲千金を狙いたいという人は、金融商品など他の投資商品を当たった方が良いです。自ら努力、勉強して培った知識、ノウハウこそが、不動産投資家のコアコンピタンスの源泉です。それらを怠ったり、他人に委ねたり、というようなことはすべきではありません。

不動産投資は、早くから始めた方が良いのはなぜか?

 皆さんは、何歳の時から不動産投資を始めましたか。「若い時の苦労は買ってでもせよ」という言葉があるように、何でも若い時から始めるのに越したことはありません。が、特に不動産投資に関しては、どうせやるのであれば、若い時から始めた方が良いと思います。

 ネット検索をすると様々な人が色々なことを言っていますが、私は少なくとも次の3つは理由として当てはまると考えています。
1つ目はより多くの収入を得られる、2つ目はより長期のローンを組める。3つ目はより多くのことを学べる、です。

 まず1つ目ですが、不動産投資は賃貸によるインカムゲインと売却によるキャピタルゲインがありますが、インカムゲインはほぼ時間に比例するので、早くから始めた方が有利になります。また、長く続けていれば売却の機会もその分だけ増えますので、結果としてより多くのキャピタルゲインを得ることにもつながります。

 私の場合は、社会に出てから20年間は不動産と全く違う縁のない仕事をしていたので、不動産投資に興味を持ったのもつい10年ほど前のことです。もっと若いうちから始めていれば良かったと思いますが、こればかりはどうにもなりません。振り返ると、地方出身なので大学に入ってから5~6年前に今の自宅を買うまで、ほぼずっと賃貸アパートや賃貸マンションに住んでいました。

 また、どの物件も
2回目の更新を迎える頃になると引っ越しをしていたので、会社の寮にいた時期を除いても、6~7回は住み替えをしていました。学生の時から通算すると、払った賃料はトータルで3千万円近くになると思います。これが例えば、初めから中古の区分マンションを買って、引っ越す時は賃貸に出して、また次の物件を買うというように繰り返していたら、今ごろは区分マンションという資産が手元にあるだけでなく、相当な賃料収入を得ていたのではないかと思います。

 次に2つ目ですが、ローンを短期的に返済しようとすると月々の返済額が増えて、経営の圧迫につながります。投資は何よりも利益を得ることが
目的なので、長期的なローンを組むことで月々の返済額を抑えて、家賃収入との差し引きで黒字となることは大きなメリットになります。あとは、若い人はまだ身体が健康なので、団体信用生命保険に加入しやすいというメリットもあります。因みに団体信用生命保険とは、契約者がローンの返済途中で死亡したり、高度障害状態に陥ったりした際に、保険金によってローンの残額が弁済される保険のことです。

 なお、若いと言っても、20代の方はローン審査に通らないこともあるので注意が必要です。親御さんが経済的に余力があれば、初めは親御さんから借りて20代から
始めるという道もとり得ますが、そうでない場合は20代のうちは頑張ってお金を貯めて、30代から始めるというのが良いかもしれません。

 最後に3つ目ですが、他のコラムでも書いた通り、不動産投資は他の投資商品に比べて、幅広に色々なことを勉強しないといけません。なので、定年後に腰を
据えて不動産投資の勉強でも始めようなどと悠長に構えていると、かなり苦労することになると思います。基礎的なことは若いうちに習得し、年を取ったらアップデートだけすれば良い状態にしておくのが理想的です。

 どの分野でもそうですが、勉強は体力、気力がないと
長続きしません。ですが、悲しいかな、人は年を取るとこの2つがどんどん落ちていくのです。過ぎてしまった時間は取り戻せませんが、幸い人の健康寿命はまだ伸びていきそうな雰囲気ですので、遅れを取ったと思ったら、その日から行動を起こすことでリカバリーを図りたいものです。

分散投資、損切りができれば、投資は怖いものなし

 投資を行うで最も大事なことは何でしょうか。これに関しては、世界の名立たる投資家が様々な金言、格言を残していますが、私は手持ち資金をゼロにしないことだと考えています。儲けの大小も大事ですが、投資というゲームに参加できる状態でい続けることこそが、最も大事だという趣旨です。

 そのためには、致命的な損を出さないよう気を付けないといけません。ここで重要なのは「致命的な」ということです。小さな損は問題ありません。いや寧ろ、
大きな儲けのためには必要なこともあるでしょう。でも致命的なレベルになると、ゲームオーバーになってしまいます。分かりやすく言うと出血にようなものです。出血も小量であれば問題ありません。生きるために必要な出血もあります。が、大量に出血すると死んでしまいます。

 では、致命的な損を出すのはどんな時かですが、株で言うならば、1つの銘柄に対して持ち金の全て、或いは殆どを一度に突っ込んでしまった時などが典型的です。
その銘柄の株価が上がれば良いですが、マーフィーの法則が働いて、大抵そういう時は外れるものです。でも、有り金を全部突っ込んでしまっているから、それが外れだと再起不能に陥ってしまいます。

 昔から投資の世界には「1つの籠に全ての卵を盛ってはいけない」という格言がありますが、投資をする時は投資先や投資時期を分散させるのが、大きな失敗を
しないための秘訣です。

 投資先の分散というのは、株であれば銘柄、不動産であれば物件を分散させることです。例えば、複数の銘柄を買っていれば、ある銘柄の株価が下がっても、
別の銘柄の株価が上がっていれば、トータルでは損にならない、或いは儲けを出せる確率が高くなります。

 続いて投資時期の分散ですが、これは先ほども書いた通り、有り金を一度に全て投資してしまうのではなく、何回かに時期を分けて投資することです。
株であれば、500株を1回で買ってしまうのではなく、押し目を狙いながら何回かに分けて買うのが分散投資です。因みに押し目とは、上げ相場で株価がちょっと下がったところのことです。

 不動産の場合も同様です。例えば、現金を5千万円持っているからと言って、いきなり5千万円の1棟マンションを買ってしまうのはハイリスクです。
経験者であればまだ良いですが、初心者が一発目でそれをやるのは危険行為です。初心者であれば、まずは1千万円、もっと慎重にやりたい場合は500万円で小さく始めて、まずは感触を掴むべきです。

 どんなに事前に書籍やセミナーで勉強しても、実際にやってみると、こうすれば良かったというポイントが幾つも出てきます。でも、2回目にやる時は、それらを
踏まえてやるので、1回目よりも失敗が減るのです。そして、3回目になるとさらに失敗は減ります。そうして実力が十分ついてきたと思えるようになったら、初めて2~3千万円クラスの物件に進めば良いのです。

 せっかちな人はそれでは悠長すぎないかと心配するかもしれませんが、それくらいで丁度良いのです。ですが、証券マンや不動産屋など、取引を仲介する立場の
人たちは、そのような助言はしてくれません。寧ろ、効率的な資産拡大のために、最初から大きく花火をぶち上げるべきだと言ってきます。株の場合はネット取引が普及したので、もはやそのような邪魔が入ることは殆どなくなりましたが、不動産の場合は今でも宅建業者による仲介がほぼ必ず入るので、そのような甘言に釣られないよう、気を付けないといけません。

 致命的な損を避ける上で、分散投資と並んで重要なのは損切りです。損切りとは、文字通り損が大きくなる前に手仕舞うことです。小さな損を受け入れることができないと、将来的に大きな損を抱えることになります。そして、さらに値上がりするのをずっと待っていると塩漬けの状態になり、今度は新たな投資機会も失うことになります。

 このことは、頭では分かるのですが、実際にやってみるとなかなかできません。体が言うことを聞かないのです。投資を始めるとまるで茹で蛙のような状態になり、
気付くと損が膨らんでいたりします。分散投資も難しいですが、損切りはそれよりさらに難度が高いのです。

 損切りに関しては、株と不動産でやや違いがあります。株の場合は、基本、売却益が損切りの対象です。配当収入のあてが外れたので損切りしたという話はあまり
聞きません。しかし、不動産の場合は、売却益と賃料収入の両方が損切りの対象になり得ます。賃料収入は、空室率の上昇や経費の肥大化により、当初の見込みを大きく下回ることがあるので、そのような場合は損切りも視野に入れないといけません。

 また、不動産ならではの難点もあります。不動産は流動性が低いので、売ると決断してから実際に売れるまでにかなり時間がかかります。
株の場合は損切りをしたらその日のうちに再スタートを切れますが、不動産の場合は何日間、何か月間と長きに亘って我慢の日々を過ごさないといけません。

 さてこのように、分散投資も損切りもシンプルではありますが、決して簡単ではありません。というか、シンプルであるが故の難しさがあると言った方が良い
かもしれません。頭で理解するのは30分もあれば十分ですが、実践できるようになるまでに長い期間がかかります。何回も実践しないと実践できるようにはなりません。「どんなに流体力学を勉強しても泳げるようにはならない。泳げるようになるためには、泳ぐしかない」というのと同じです。このコラムを読まれて、まずは基本方針が見えたかと思いますので、あとは練習あるのみだと思います。

不動産投資家の実力を簡単に見抜く指標とは?

 不動産投資に関する書籍やセミナーで著者や講師の方の紹介を見ると、必ずと言っていいほど、「資産○億円」という言葉が添えられています。もはや、資産規模が不動産投資家としての実力を測る物差しのようになっていますが、本当にそうなのでしょうか。資産10億円の不動産投資家は、資産3億円の不動産投資家よりも、実力が高いのでしょうか。資産規模の大きい不動産投資家の言うことは、本当に信用できるのでしょうか。

 今回は、不動産投資家としての実力を測るのに適切な指標について、考えてみたいと思います。まず資産についてですが、資産とは純資産と負債を足し合わせたもののことです。ですから、誰かからお金をたくさん借りることができれば、資産自体は直ぐに大きくすることができます。最近はだいぶ沈静化してきましたが、一時期は属性の良いサラリーマンが投資用の不動産を買うと言うと、年収の20倍、30倍ものお金を融資してくれました。

 これにより、少なくとも資産の規模は、何の苦労もなく短期間で、何億円というレベルにまで膨らませることができたのです。例えば、年収1千万円のサラリーマンであれば、僅か1か月で2億円や3億円の資産を築くことができました。ですが、金融機関はサラリーマンという属性を評価してお金を貸しているのですから、どう考えても資産規模が不動産投資家としての実力を測る物差しになるとは言えません。

 寧ろその物差しになり得るのは、純資産ではないでしょうか。純資産は、資産から負債を引いたものです。そして、不動産投資家の場合は、負債の殆どが物件の購入やリフォームのための借入金になります。ですから、不動産投資家としての経験を積み重ねて、賃料収入や物件の売却益からこつこつ借金を返済し、純資産を増やすことができた人が、不動産投資家としての実力が高いということになります。

 そう考えると、純資産は確かに資産のような違和感はありません。が、純資産も完璧ではなくて、次のような場合は違和感が出てきます。例えば、初めから手元にお金があって、現金で物件を買った場合は、何の苦労もなく直ぐに「純資産○億円の不動産投資家」を名乗れてしまうのです。このように、資産よりは純資産の方がより適していますが、それでもまだ十分とは言えません。

 さて、これまでストック系の指標を見てきましたが、次にフロー系の指標に目を向けてみます。不動産投資に関して、フロー系の指標として直ぐに頭に浮かぶのはキャッシュフローです。キャッシュフローとは、収入から支出を引いて手元に残るお金のことです。普通は、物件を買う前に必ずキャッシュフロー計画を作るので、ご存知かと思います。キャッシュフローは純資産とよく似ています。融資をたくさん受けても直ぐにキャッシュフローが大きくなるようなことはありませんが、多額の現金を元手に不動産投資を始めた場合は、早くからキャッシュフローを大きくすることができます。

 あとは、似たような指標として営業利益が挙げられます。ただ営業利益の場合は、見かけ上の経費である減価償却費を引いて計算するため、キャッシュフローよりも適切さを欠いています。例えば、減価償却費の小さい物件を買った方が営業利益が大きくなり、実力も高いということになりますが、それは違和感があります。

 以上から、不動産投資家としての実力を測る完璧な指標はなかなか見つかりませんでしたが、少なくとも冒頭で取り上げた資産より、純資産、キャッシュフローの方がより適しているということは言えるかと思います。普通のサラリーマンであれば、初めから何億円という現金を元手に不動産投資を始める人は少ないと思いますので、純資産規模、キャッシュフローが大きければ、かなり経験を積んでいて、実力も高いと言って良いかもしれません。

 不動産投資家の中には、資産は10億円以上と大きいけれど、うち純資産は1~2億円しかなく、また所有物件の利回りを聞くとグロスでも5%しかないというような人が結構います。このような人は簡単に言うと、借金は山ほどあるけれど、毎年手元に残るお金は少ないということです。今はまだ金利が低いから良いですが、そのうち金利が上がると毎月の返済が増えてさらにキャッシュフローが下がるので、たくさんある借金を返せなくなる可能性があります。

 長らく低金利が続いてメガ大家と呼ばれる不動産投資家が数多く誕生してきましたが、昨今の状況を鑑みると、今後はいつ金利が上がっても不思議がない状況です。不動産投資は、純資産、キャッシュフローを常にしっかり確保しながらやっていきたいものです。

本当の利回りは、生涯利益を用いて計算すべき

 今回は、収益物件の利回りについて考えてみたいと思います。皆さんはこの物件の利回りは○%だと言われた時、どんな計算式を思い浮かべますか。楽待や建美家などのポータルサイトで掲載されている利回りは「表面利回り」と呼ばれるもので、年間の賃料収入を物件の販売価格で割った値です。

 様々な物件の中でその物件の収益性が相対的に高いのか、低いのかを判断するような場合は、この指標でも全く問題ありません。
しかし、実際の投資額に対して正味の粗利がどのくらいあるのかを見るような場合は、表面利回りでは用を足しません。このような場合は、やはり純利回りで見ないといけません。

 表面利回りを純利回りに直すには、年間の賃料収入からは運営にかかる経費を控除し、物件価格には取得時にかかる経費を加える必要があります。計算式としては、(年間賃料収入-年間運営経費)÷(物件価格+取得時経費)となります。

 ですが、実はこれでもまだ抜け漏れがあります。出口としてその物件を売った時の利益(損失)と出口に至るまでの経費が考慮されていないのです。
後者は、純利回りの計算式でも年間運営経費として触れられているのでまだ良いですが、前者は全く触れられていません。物件を買う時には、出口のことまで頭が回らないかもしれませんが、ライフサイクル全体での収支を正確に把握するのであれば、そこまで含めないといけません。

 その物件が売却時に利益をもたらすか、損失をもたらすかは、その物件のライフサイクル全体における収益性を大きく左右します。
そのため、大きな空室もなく賃料収入は順調だったとしても、最後の出口で大きな損失が出ると、それまでの利益が大幅に毀損されて、利回りもがくんと落ちてしまうことがあります。

 生涯利益は計算式としては、生涯家賃収入-生涯経費+物件の売却益※-取得時経費-売却時経費 ※売却損の場合はマイナス となります。本当の意味での正味の利回りを把握したければ、この生涯利益を用いて計算するべきです。

 一般的なものではないですが、あえて計算式を書くと、生涯利益/所有期間÷(物件価格+取得時経費)になるかと思います。なお、生涯利益/所有期間は、物件を所有していた期間における平均利益を示しています。

 生涯利益を算定する時に悩ましいのが、売却益の見積りです。より端的に言うと、物件の販売価格の見積りになるかと思います。その物件が幾らで売れるのかを
より精度高く見積もるためには、買ってから何年経ったら売るのかを想定しておかないといけません。

 土地については、将来に亘っての相場の見通しを正しく行うのは極めて難度が高いので、横這いとして差し支えないかと思います。つまり、何年後に売るかは
あまり影響しません。一方で建物については、経年と共に確実に老朽化が進むので、何年後に売るかが価格に大きく影響します。あとは、リフォームをする/しないも価格に大きく影響するので、これも想定に入れておかないといけません。

 ここまで読まれてもうお気付きの方もおられるかもしれませんが、結局、生涯利益を出そうとすると、Excelでキャッシュフローシートを作らないとできません。逆にキャッシュフローシートをきちんと作れば、これまで書いた内容は全て盛り込まれるので、簡単に計算することができるのです。

 結局、その物件の事業性を正しく把握するには、キャッシュフローシートを作らないとダメだということになります。それなくして、買付を入れてしまうと後々になって、こんな筈ではなかったという事態に陥ることになりかねません。株やFXの場合はここまで面倒な作業は伴わないですが、不動産投資では避けられません。不動産投資はビジネスだと言われる所以かと思います。

収益物件として買い、実需物件として売るのがお得

 不動産は、同じ物件であっても誰から買うか、或いは誰に売るかによって、成約価格が大きく違ってきます。売主、買主となるプレーヤの属性は大きくは個人と法人に分けられますが、成約価格の違いを見るためには、もう少し細かく分けないといけません。

 例えば、個人がマンションを購入する時を例にとると、居住目的の一般個人と収益目的の投資家では、物件の価値を全く違う物差しで測っているため、
価格に対する許容度も大きく異なっています。法人の場合も同様で、買取再販業者とハウスビルダーではビジネスモデルが違うため、同じ物件について買取目線を提示してもらうと大概、差異があります。これらは物件を売買する時に注意すべき点の1つですが、逆に言うと、この特性を上手く使うことで利益を増やすこともできます。

 そこで今回は、区分マンションを買って賃貸に出す場合を例に、利益を最大化するための買い方、売り方について考えてみたいと思います。売買による利益を最大化するには、購入時の価格はできるだけ抑え、売却時の価格はできるだけ釣り上げることが基本です。

 まず購入時ですが、区分マンションであれば売主として、一般個人、投資家、買取再販業者の3者が主に想定されます。売主が一般個人の場合は、何らかの理由で売り急いでいれば価格は二の次となり、割安価格で買うことができます。しかし、そうでない場合は、買った時の価格に縛られることが少なくなく、合理的な価格では納得しないケースが多いです。そのため、全体としては割高になることが多いと思われます。また、一般個人から買う場合は空室の状態で買うので、購入後に客付けをしないといけません。オーナーチェンジの物件に比べると、その分、余計にコストがかかってしまいます。

 一方で投資家の場合は、殆どの場合、オーナーチェンジ物件として売られますが、通常はその物件の収益力、つまり賃料を幾ら取れるかを元に合理的に価格を
設定するので、売主が一般個人の場合に比べると安値で買えるケースが多いです。なお、ここで合理的な価格と言っているのは、いわゆる収益価格のことです。賃料を利回りで割ることで算出されますが、賃料や利回りはエリア毎に相場があるので、あまり外れた価格にはなりません。

 買取再販業者については、実需物件として売るか、収益物件として売るかにより違ってきます。前者の場合は一般個人による購入を想定しているので、
かなり強気の価格で出してきます。一方で後者の場合は、同業他社や投資家による購入を想定しているので、合理的な価格で出しているケースが多いです。

 以上から購入時は、投資家や買取再販業者がオーナーチェンジ物件として売っている物件を買えば、割安に買える可能性が高いと言えます。
特に、買取再販業者からダイレクトに買う場合は、仲介手数料もかからないので、さらに初期費を抑えることができます。

 次は売却時ですが、買主としては、購入時と同じく、一般個人、投資家、買取再販業者の3者が主に想定されます。買主が一般個人の場合は、多くの場合、自分として幾らまで出せるかが基準となるので、希望条件を満たす物件が予算の範囲内に収まっていれば、たとえ割高であっても鈍感になりがちです。そもそも一般個人の場合は相場に対する感度が低いので、その物件が割高かどうかを確かめること自体、困難を極めます。

 一方で投資家の場合は、オーナーチェンジ、実需のいずれの場合でも、物件の持つ収益力に見合った価格となっているかをシビアに見極めるので、合理的な
価格を少しでもオーバーしていると容赦なく指値が入ります。買取再販業者の場合も、基本は投資家と同じです。ただ、彼らの場合は会社の間接費を賄うためにより多くの利益を確保しないといけないため、買取目線は投資家以上にシビアだと思います。

 以上から売却時は、一般個人に対して実需物件として販売すれば、より高く売れる可能性が高いと言えます。因みにこのことは、レインズで成約物件の履歴を辿っていくとよく分かります。同じマンションの同じ階、同じ広さの物件でも、収益物件だと980万円なのに、実需物件だと1,780万円とか1,980万円で売られていることがよくあります。価格差にはリフォーム費が含まれているとしても、その差は大きすぎます。 

 なお、この場合の留意点として、明け渡す時は必ず空室にしないといけません。また、より高く売るためには原状回復レベルのリフォームではなく、新築に近い
状態にするリノベーションが必要です。より高く売るために、コストと時間が追加でかかるということは、そうならなかった場合はより大きな損失を被ることにもつながりますので、注意が必要です。

 また、物件があまりに古すぎるとリフォームをしても実需向けとして売るのがきつくなったり、売れたとしても赤字になってしまうので、これも注意が必要です。買ってから5年、10年経っても、実需市場で売れるような物件を選ばないといけません。

極端な狭小地でも、人通りが多ければ買う価値あり

 極端な狭小地は、実需目的だけでなく、収益目的でも敬遠されがちです。「家を建てるのが難しいような土地は、駐車場にでもしろ」と言われたことがありますが、都心に行くと、駐車場にすらできないような狭小地がゴロゴロしています。

 駐車場を作ろうとすると、たった1台しか停められない駐車場でも、2.5m×5mの土地を確保する必要があります。面積が12.5㎡の土地ではなく、あくまで2.5m×5mの区画の土地が必要だというところがポイントです。ですから仮に4m×10mの土地があったとすると、面積は40㎡で上記の3倍以上の広さがありますが、2.5m×5mの区画は2つしか確保できません。

 また、2台分の区画を確保できたしても、接道の仕方や道路の幅員によっては、2台車を停めてしまうと1台が外に出られないとか、ドアが開かなくなってしまうというような場合もあるため、40㎡あってもたったの1台しか駐車できないというケースもあり得ます。このように、駐車場というのは意外とスペースに関する制約が大きいので、狭小地イコール駐車場用地と考えるのは早計です。

 では、家も建たないし駐車場にもならないような土地は、もう買う価値がないのかと言うと、それもまた早計です。例えば、もしその狭小地が人通りの多い場所にあるのでしたら、収益化を期待できる土地として、一考の価値があります。人通りの多い場所と言っても種々雑多で色々ありますので、幾つかのカテゴリーに分けて考えてみます。

 まず一般的に、最も人通りが多いのは、駅前や商店街ではないでしょうか。例えば、駅前の場合は、駅までは自転車でやってきて、そこからは電車で移動したいという人が多いので、その間、自転車を停めておける時間貸駐輪場などはニーズがあります。商店街でも、買い物をしている間だけ、自転車を停めておきたいというニーズはあるので、時間貸駐輪場は有望だと思います。ただ注意すべきことが1つあって、いずれも利用者の動線上にないといけません。どんなに駅や商店街から近くても、利用者が自転車で通らないような場所に時間貸駐輪場を作ってしまうと、稼働率を高めるのに苦労することになります。

 あとは、駅の中にコインロッカーがあるけれど、いつも一杯で空いていないというような場合は、駅の外にコインロッカーを置いても、ビジネスとして成立する可能性が高いでしょう。なお、これは商店街だとちょっと難しいかもしれません。

 次に、駅や商店街などからはやや離れているけれど人通りは多いという場合ですが、このような場合は自販機が適していると思います。
通勤通学の道路沿いのように毎日の人通りが安定した場所だと、飲料の売れ行きも期待できます。弊社でも駐車場の空きスペースに飲料自販機を置いていますが、絶え間なく人通りがあるので、毎月500本以上売れています。

 自販機のみだと大した収入になりませんが、狭小地で駐車場だと1~2台しか停められないような場合に、空いた場所に自販機を置くと、利回りを底上げする
ことができます。難点を挙げると、日本の場合、ある程度人通りが見込まれる場所には、だいたい自販機が既に置かれているので、その隙間を探さないといけません。少なくとも同じ飲料メーカの自販機を置くことはできないので、まだ陣取りができていない飲料メーカにアプローチしていくことになります。

 なお、コインパーキングの場合は電力が必要なので、自販機を置くと、電気工事代や毎月の基本料金をシェアすることができ、その分だけ節約することができます。その意味で相性の良い組み合わせと言えます。

 あとは、人通りは少ないけれど車の量は多いというような場合は、広告看板が有望です。
例えば、田舎の国道沿いなどはそのような場合が多いですが、上記2つの場合と違って土地代が安いので、収入が少なくても利回りは高い水準を狙える可能性があります。

 いずれも、初期投資、ランニングコスト、撤退コストを見積って、キャッシュフローや利回りがどのくらいになるのかを、土地を購入する前にシミュレートする
ことが重要です。できるだけ緻密に見積もってシミュレーションの精度を高めることが、成功の秘訣です。また、そうすることで、対象地を上限幾らで取得しないといけないのかということもはっきりしてきますから、土地を購入してから高値掴みしたと後悔することも避けられます。

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駐車場すら難しい狭小地は、貸地にすべき

 一般に、都心に行けば行くほど、一筆当たりの土地の面積は小さくなる傾向にあります。弊社で管理している不動産は殆どが千葉県内ですが、中には都内の物件もあります。が、都内の物件はやはり手狭な物件が多いです。

 今からご紹介するのは、そのうちの1つについての話です。
その土地は、地下鉄駅から徒歩1~2分の超好立地でしかも角地だったのですが、非常に狭くて40㎡しかありません。もともとは築古の家屋が建っていたのですが、空き家になったので、家屋を解体して収益不動産として活用することになりました。

 面積が狭いのでまず候補に挙がったのは、定番の駐車場でした。しかし、道路の幅員が狭く、駐車しづらいので、頑張っても登録車1台と軽自動車1台が精一杯という状況でした。これでは、さすがに立地が良くて賃料を高く設定できたとしても、全体の収入はたかが知れているということで却下になりました。

 次に候補として挙がったのは、時間貸の駐輪場です。地方にお住いの方はあまり馴染みがないかもしれませんが、都心の駅に行くと、駅前に1日単位や半日単位でで課金される貸駐輪場がよく見られます。その土地も、駅の周りに幾つかの時間貸駐輪場がありましたが、たまに見に行くと日中はほぼ満車に近い状況で、需要が高いように見えました。これならば上手くいくだろうということで、時間貸駐輪場をやることにしました。当時はもう他に儲かりそうな使い方が出てこなかったことも、決断を後押ししました。

 ただ実際にやってみると、なかなか思うようにはいきません。
運営会社からは、大抵は半年経つと軌道に乗ると言われていましたが、本件の場合は半年経っても泣かず飛ばずでした。通常ですと半年経っても上手くいかなかったら、その事業からの撤退を考えます。ですが、本件の場合はあいにく、駐輪場の機器を整備する時に自治体から補助金をもらっていたため、運営開始から3年間は撤退ができませんでした。もし撤退したら、もらった補助金を返納しないといけません。

 胃の痛い日々が続きましたが、幸い立ち上げより1年経った頃から稼働率が上がり始めたので、今では保守費や電気代などの経費だけでなく、減価償却費まで賄えるようになりました。が、今でも平均稼働率はまだ5割に達しない状況です。赤字は何とか回避できそうですが、弊社で管理する他の物件と比べると、だいぶ精彩を欠いています。

 本件のように、駐車場はダメ、時間貸駐輪場は可能だけれど収益性は今一つというような場合に、他に何か良い打ち手はあるのでしょうか。
スペースの制約を克服できるものとしては、時間貸駐輪場以外にも、自販機や看板広告、コインロッカーなどが考えられました。ただいずれも、収入規模が十分でないとか、そもそもニーズがないなど、ぱっとしません。

 弊社のような不動産屋であれば、隣接する土地を取得してより広い土地に仕立てた上で、アパートを建てるとか、或いは更地として売却するといったことも
できますが、一般個人の方の場合はそうもいきません。そこでですが、そのような難度の高い狭小地は、何もしないでそのまま貸地として貸すのも1つの手かと思います。

 これの良い所は、1つは初期投資なしに安定収入を得られること、もう1つは借り手がつきやすいことです。前者については、契約書に原状回復した上で返してもらう旨を書いて、あとは借主のお任せとすれば、貸主にはコストが発生しません。借主が月極駐車場をやりたければ、借主がそのための投資をするでしょう。また、月極駐車場が上手くいってもいかなくても、貸主の手元には毎月安定した収入が入ってきます。

 次に後者ですが、売地に比べると貸地の供給量は非常に少ないです。特に都心の場合は貸地の供給が殆どないので、用途に関する制約を厳しくしなければ、
直ぐに借り手がつく筈です。仮に収益物件としてのニーズがなかったとしても、資材置き場や社用車の駐車場など、実需物件としてのニーズは何かしらあると思います。収入はさほど期待はできませんが、土地以外の初期費はほぼゼロに近いので、相続などで土地を引き継いだ場合は、持ち出しなしで収益化することができます。

 あと、何でもありということであれば、思い切って土地を売却し、そのお金でより高収益を狙える物件に投資するという選択肢もあるかと思います。長い目で
見たら、その方が儲けが大きいかもしれません。

 このように、頭をほぐしてゼロベースで考えると、極端な狭小地でも有効な出口が見つかるものです。体に汗をかくのも大切ですが、その前に脳に汗をかくことは
それ以上に大切だということです。

不動産投資VSクラウドファンディング

 今回は、不動産投資とクラウドファンディングを対象に比較を行ってみたいと思います。両者は、毎月決まった額のインカムゲインがあるという意味で非常によく似ています。不動産投資は毎月賃料が入ってきますが、クラウドファンディングも毎月配当金が入ってきます。皆さんの中にも、手元にあるお金で投資を行う時に、不動産投資とクラウドファンディングのどちらにしようかと、両者を天秤にかけて悩んだことのある方もおられるかと思います。

 ところで、クラウドファンディングとはどう意味かご存知でしょうか。クラウドファンディングとは「群衆(Crowd)」と「資金調達(Funding)」を組み合せた造語です。インターネット上で不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、サービスや商品の趣旨、個人の想いに賛同した人から資金を集める方法のことを言います。クラウドファンディングには、不動産を対象とした商品もたくさんあります。「みんなで大家さん」が有名ですが、他にも、OwnersBook、Fundrop、ティーソンなど様々な商品が出ています。

 では、それぞれのパフォーマンスを比べてみたいと思います。まず、インカムゲインについて利回りを比べてみます。
不動産の場合は収益物件のポータルサイトを見ると、グロスの利回りの数字が強調して書かれていますが、例えば弊社のある千葉市中央区で中古の1棟アパートを見てみると、7~9%の物件が多いようですが、地方に行くとこれより数字が上がって10%を超える物件も珍しくないですが、逆に都心に行くと5~6%しかない物件が殆どだったりします。

 あと、これらの利回りはあくまでグロスの数字なので、クラウドファンディングと比べるためには、ネット(正味)の数字に直さないといけません。ネットに直すと大抵1~2%は下がりますので、千葉市内で5~7%、都心だと3~5%がだいたいの目安になるかと思います。一方でクラウドファンディングの場合ですが、低いもので4~5%、高いものだと6~7%、中には8%という商品もあるようです。よってネットの利回りで比べると、インカムゲインについては両者のパフォーマンスはさほど大きな違いはないと言えるでしょう。

 次にキャピタルゲインです。こちらは不動産にしかないので比較はできませんが、売却により利益を確保できる場合もあれば、損が出てしまう場合もあるので、引き分けとしておきましょう。

 では続いて、リスクを比べてみたいと思います。不動産投資の場合は、リスク要因が山ほどあります。老朽化による建物価値の低下、地方や築古物件での空室、
修繕等による経費の肥大化、市中金利の上昇など、挙げていったらきりがありません。クラウドファンディングも、不動産を対象とした商品であれば基本は同じです。但し、投資家に有利な「優先劣後構造」という仕組みが採用されているので、元本割れについては非常に稀だと言われています。但し、建物が損壊、倒壊したり、クラウドファンディング事業者が倒産すると、クラウドファンディングでの元本割れが現実のものとなります。

 あとクラウドファンディングならではのメリットとして、小額から投資できる、手間がかからないといったことが挙げられます。
これらを踏まえると、現金を元手に投資を行うのであれば、グロスの利回りが5%を切るなど低利回りの物件に投資するくらいだったら、クラウドファンディングに投資した方が良いと思います。グロスの利回りが5%を切るとネットでは4%を切ってしまいますし、都心の一部地域を除くと売却によるキャピタルゲインも期待できません。

 一方、ローンを利用して始める場合は不動産一択になってしまいますが、これまで書いたように投資規模や利回りには十分注意が必要です。
また、資金に余裕があれば、他のほったらかし系の投資商品も手掛けて、リスクを分散させるというのも1つの手です。ほったらかし系の投資商品としては、不動産、クラウドファンディングの他、投資信託があります。

 株やFXはアクティブなので、ほったらかし系の投資商品をやってもまだ余裕があるという場合にした方が良いでしょう。これらはその名の通り、アクティブに
やらないといけないので、それだけやったのでは気の休まることがありません。

 手元にお金があまりない人のロールモデルとしては、まずはローンを使って高利回りの不動産に投資し、毎月のキャッシュフローに余裕が出てきたら、そのうちの幾らかをファンディングや投資信託に投資していきます。するとお金の入ってくる財布が1つから2つ、3つと増えていくので、毎月のキャッシュフローも雪だるま式に膨らんでいきます。ここでまた余裕が出てきたら、今度はいよいよ株やFXのようなアクティブな投資商品にも挑戦したら良いのです。このやり方ですと時間もかかりますので、他のコラムでも書きましたが、若いうちから始めるのがポイントです。

 せっかちな人は早く大きな儲けを出したいので逆の順番でやりがちですが、少ない元手でリスクの高い商品に手を出してしまうと、リスクの分散も十分に
できず、元手を全て溶かしてしまうリスクも高まります。何から手を付けてどういう順序でやっていくかは、その後のパフォーマンスに大きな影響を与えるので、よく考えてから始めましょう。

不動産投資は、本当にミドルリスク/ミドルリターンか?

 不動産投資がブームとなって久しいですが、今回は不動産投資のリスク、リターンについて考えてみたいと思います。書店の投資本コーナーなどで投資に関する書籍を見ると、大抵の場合、不動産はミドルリスク、ミドルリターンの投資として位置づけられています。他の投資とリスク、リターンを比べた時に、株やFX、投資信託ほどは高くはないが、預金や国債に比べたらずっと高いから、というのがその根拠のようです。

 リターンについては異論はありません。例えば株だったら、時流に乗って株価が上がれば、利回りが100%を超えることも珍しくありませんが、不動産の場合はそのようなことは滅多にありません。競売で地方の物件を格安で落札できれば、利回りが100%を超えることもありますが、全体の中ではかなりのレアケースです。大抵の場合は都心であれば5~10%、地方の場合は10~15%の範囲に収まっているかと思います。だから、不動産は株やFXより利回りが劣後するという見解については、全くその通りだと思うのです。

 しかしリスクについてはもう少し慎重に見ていく必要があると思います。
まず株やFXは、上手くいった場合は高いリターンが期待できますが、その分リスクも高く、元本がゼロになってしまうことも珍しくありません。株やFXで失敗して身を滅ぼした人を挙げていったら、枚挙にいとまがありません。投資信託はリターンは不動産投資に近いかもしれませんが、こちらも元本がゼロになるリスクは十分にあります。実際に私の周りにも、100万円を投資信託に突っ込んだけれど、全て溶かしてしまったという人がいます。

 一方で不動産の場合は、元本がゼロになってしまうことは、まずありません。
例えば、グロス利回り10%の中古アパートを3,000万円で買ったとします。満室にできれば、毎年300万円の家賃が入ってきます。全て空室だと収入はゼロになりますが、誰もいなければかかる費用も固都税くらいなので、さほど大きな痛手にはなりません。

 何年かしてアパートを売却したとしても、手元にお金が全く残らないということはありません。アパート自体の価値はゼロになる可能性がありますが、土地値はたとえ地方であっても価値が購入時の半分以下になるようなことはまずないので、そこからアパートの解体費を控除しても、通常はかなりのお金が手元に残ります。

 また、物件を賃貸に出している間に修繕費などの経費が嵩んだり、売却した時に大きな損が出ると、利回りの数字がマイナスになることはありますが、それでも元本がなくなることは、まずありません。あとは、エモーショナルな話になりますが、不動産は金融商品と違って土地や建物といった目に見えるものがあり、安心感があることも、リスクイメージの軽減に一役買っているかと思います。

 ただ、ここまで言ってきたことは、あくまで現金を元手に不動産投資を行った場合です。融資を受けて投資を行った場合は、話は別です。融資を受けた場合は、信用取引と同じで、手元のお金より遥かに多額のお金を運用することができるので、損が膨らんだ場合は元本ゼロどころか、多額の借金を抱えることになります。

 信用取引の場合は、レバレッジはせいぜい3~4倍だと思いますが、不動産の場合は桁が1つ違います。
スルガ銀行の一件があってからは金融機関もだいぶ保守的になりましたが、一時期は、属性の良いサラリーマンであれば、年収の20倍や30倍という大金でも簡単に借りることができました。また、ワンルームマンション投資の場合は、フルローンというケースも珍しくありません。

 このように、不動産投資も現金で行う場合は一般的に言われている通り、ミドルリスク、ミドルリターンという認識で良いかと思いますが、融資を利用する場合は、株やFXと同様の、或いは場合によってはそれ以上のリスクがあることを頭に入れておかなければいけません。

高利回りの物件だから安心/儲かるとは限らない

 今回は利回りに対する考え方について書きたいと思います。収益物件を買う時の指標として、最も重視されるのは利回りではないでしょうか。ただ、だからと言って、利回りだけ見て物件を買うと、思わぬ落とし穴にはまることもあります。

 まず、高利回りになるのはどんなケースかについて考えてみたいと思います。利回りは、表面利回りであれば、家賃収入÷物件価格で計算されます。したがって、家賃収入に対して物件価格が割安の場合、或いは、物件価格に対して家賃収入が割高の場合に高利回りとなります。しかし、家賃が通常より割高になるケースというのは殆どないので、後者は現実には殆どなくて、前者が高利回りの物件となります。

 物件価格が割安になるケースは結構色々あります。地域で言うと、都心より地方、また同じ地方でも、駅近より郊外の方が割安になります。築年数で言うと、新築より築浅、築浅より築古の方が割安になります。瑕疵物件も割安です。家屋に雨漏り跡があったり、接道が悪く再建築できない、旗竿地、心理的瑕疵など、、これだけでも色々あります。さらに物件の売却理由で言うと、相続や任意売却、競売などは、通常よりも割安になります。

 高利回りを狙うには、これらの物件をターゲットに探すことになりますが、いずれもリスクを含んでいることに注意が必要です。例えば、地方や駅から離れた物件は、客付が簡単でない、売却時に安く買い叩かれやすい(都心のように売却益は期待できない。かなりの赤字も)なので、空室率が高まったり、売却損が膨らんで、生涯利益で言うとさほど儲からないということもあります。

 築年数や瑕疵物件も同様です。こちらは、空室率や売却損だけでなく、修繕費の肥大化などの問題もあります。物件の売却理由はちょっと違って、他に比べると利回りを下げる要因が少ないですが、そもそも競争が熾烈化していて、物件の取得に高い障壁があります。

 地元密着でやっていて、この地域の相続物件ならば確実に受注できるとか、弁護士との太いパイプがあって、任意売却の物件を安定的に仕入れることができるというような強みがあれば良いですが、そうでないと結構きついです。利回りの追求自体は悪いことではありませんが、通常と比べて利回りが高い場合はなぜそんなに高いのか、丁寧に理由を分析し、その物件が自分の実力に見合っているのか、よく考えることが大切です。

区分マンション投資は、手間なしで初心者向けか?

 区分マンションは、不動産投資の中でも比較的手軽にできるタイプの物件と言われています。不動産投資に関する書籍やセミナーでは、初心者でも手を出しやすい物件としてよく紹介されています。

 物件タイプ毎に見ていくと、確かに区分マンションは他のものほど手間がかかりません。
例えば戸建の場合は、物件を賃貸に出してからは区分マンションとさほど違いはないですが、買う時は接道状況(再建築が可能か、セットバックがいるか等)や境界に関する問題(明確か、越境がないか等)、インフラの整備状況(ガス、上下水道の引込があるか等)など、区分マンションにはないチェックポイントがたくさんあります。

 アパートの場合は、購入時はこれに共用部分に関する内容が加わります。また、入居する世帯が1世帯から5世帯、10世帯と増えていくので、賃貸時は、物件内での
近隣トラブルも見ていかないといけません。1棟マンションの場合は、エレベータや消防設備など、アパートにはあまりない設備がこれに加わるため、買う時も買ってからも、その分手間がかかります。

 区分マンションの場合はこのような手間がないので、初心者でも手を出しやすいというのは、その通りかと思います。但し、簡単お手軽なことと儲けを出しやすいことはイコールではありません。通常は、寧ろ反対のことの方が多いです。区分マンションも例外ではありません。

 区分マンションでは、毎月賃料から決まった額の管理費と修繕積立金が引かれるので、純利回りは結構低くなってしまうという弱点があります。
特に地方の物件の場合は賃料が安いので、表面利回りが10%を超えていても、管理費と修繕積立金が引かれると大抵10%を切ってしまいます。例えば千葉でも、区分マンションで管理費、修繕積立金を控除しても10%を確保できる物件となると、殆どありません。あったとしても、そのような物件は物凄い築古だったり、救いようのない瑕疵を抱えていたりします。

 あと、管理費と修繕積立金はあくまで共用部しかカバーしていないので、専用部で何かあったらさらにそこからコストを差し引かないといけません。このように、区分マンションの場合は経費が大きくなりがちです。また、経費節減をしようと思ってもその自由度が小さいため、なかなかコストを抑えることができません。管理費や修繕積立金は増えることはあっても、減らすことはできません。ですから区分マンションは特に、表面利回りだけで物件の良し悪しを判断してはいけないのです。

 区分マンションの中でも特に危険なのは、新築の物件です。新築の物件は買った瞬間に価値が最低でも10%は下がりますし、以降も結構な勢いで下がっていきます。
なので、新築の区分マンションを買って何年か経った時に売ろうとすると、大抵、価値は何割も下がってしまいます。ただでさえ毎月の収入が少ないのに、そこから売却損の分も引かないといけないのです。さらに融資を活用した場合は利息分も費用として計上されます。新築の区分マンションを買うと、大抵の場合は赤字ぎりぎりか下手すると赤字になってしまいます。

 区分マンションに関して例外を挙げると、マンション価格の相場が上昇期にある時や昔からトレンドに関係なく価格が底堅いエリアでは、買ってからもさほど価値が下がらないか、場合によっては上がったりもします。このような場合は物件を売った時に相当な利益を得られる場合もありますので、生涯利益を物件価格で除すとそこそこ高い利回りになることもあります。

 区分マンション投資は、手間が少なく初心者でも手軽に始められますが、収益性を考えると上記のように落とし穴が幾つもあるので、注意が必要です。もちろん中には高利回りを確保できる物件もありますが、それを見つけるのは簡単ではありません。条件の良い物件を探すのに、多くの時間と労力を費やしてしまうのは勿体ないです。そうなる前に、区分マンションは諦めて、戸建など他のタイプで買うべき物件を探した方が、長い目で見ても得だと思います。

ゼロ円空き家だから儲かるとは限らない

 空き家問題という言葉をご存知でしょうか。簡単に言うと、空き家が増えることにより、周辺環境への悪影響や犯罪リスクが高まる問題のことです。平成30年住宅土地統計調査によると全国には849万戸もの空き家がありますが、野村総研の予測では、2033年にはこの約2.5倍の2,146万戸まで増加すると言われています。政府は、空き家問題への対応として、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称「空き家対策法」)」を施行しましたが、足元の状況を見る限り、まだその効果はあまり出ていないようです。

 さて、不動産投資との絡みで言うと、ここ1~2年前から空き家をターゲットにした不動産投資がちょっとしたブームになっているようです。書店の不動産コーナー
に行くと、その手の書籍が何冊も並んでいます。ここでターゲットになっているのは、主に僻地にある築古の空き家で、物件をただ同然で仕入れられるというのが大きな魅力になっています。

 僻地にある築古の空き家の持ち主は、その多くが常日頃から、固都税などの金銭的な負担や修繕などの空き家の管理から解放されたいと考えています。ですから、ただでも良いので空き家を手放したいと考えているのです。またここ最近は、冒頭に書いた空き家対策法も、ただ同然でも空き家を手放すインセンティブになってきています。

 「利は仕入にあり」という言葉があるように、仕入がただでできれば、その時点でもう儲けを確保できたも同然と考えたくなりますが、果たして本当でしょうか。
無双に思われるゼロ円空き家投資にも、どこかに落とし穴となるリスクがないか、検証してみたいと思います。

 ここでは、できるだけ網羅的にチェックするため、仕入時、リフォーム時、賃貸時、売却時の4つのフェーズに分けて、見ていきたいと思います。

 まずは仕入時。僻地にも幾つかのレベルがありますが、例えば、周りに誰も住んでいないような場所にある空き家を買ってしまうと、客付けに苦労します。入居者がいないと賃料収入が入ってきませんので、初期費としてのリフォーム代や毎年の固都税、建物を維持するための修繕費などがコストとして重く圧し掛かり、大赤字になってしまいます。

 また、無償で譲渡される物件は、不動産会社が仲介に入らないケースが多いですが、その場合、書類の作成や登記などの手続きは自らやらないといけないので、非常に面倒ですし、当事者間の取引は何かとトラブルに繋がりやすいです。宅建業者が仲介としている時は、その有り難みがなかなか分からないものですが、居なくなると良く分かるものです。

 次にリフォーム時。これは分かりやすいと思いますが、リフォームにお金をかけすぎてしまうと、折角、空き家をただ同然で買った意味がなくなります。空室リスクほど深刻ではありませんが、収益性を確実に押し下げるのは間違いありません。

 そして、賃貸時。建物の維持にお金がかかりすぎると、先ほどと同様、空き家をただ同然で買った意味がなくなります。
最後に売却時。場所によっては、買い手がつかず、売りたくても売れないという状況に陥る可能性があります。買った時のようにただ同然であれば、直ぐに引き取り手が現れると思いますが、それでは採算が合いません。

 向かうところ敵なしに見えるゼロ円空き家投資ですが、このように具に見ていくと、結構、落とし穴となるようなリスクがあります。これらは大雑把には、空室に関するものと維持修繕に関するものに分けられますが、それぞれに有効な打ち手があります。

 まず前者ですが、入念なマーケティングによって空室リスクの軽減が可能です。都心に住んでいると、地方で駅から離れたような場所はどこも客付けが難しいように見えるかもしれませんが、実際はそんなことはありません。地方の中にも、また僻地の中にも、人気があるなしの濃淡があります。これはネット検索をしていたのだけでは、なかなか分かりません。でも、古くからその地域に根を張ってるような不動産屋に行って話を聞くと、どこが人気があって、どこが人気がないかということが見えてくる筈です。

 次に後者ですが、優良な工事業者を確保することで、収益性の低下を防ぐことができます。「優良」と言っているのは、ただ工事の腕が良いというだけでなく、
それを安くやってくれるという意味で言っています。工事業者は、大手のリフォーム会社から工務店、一人親方まで様々な選択肢がありますが、ここで選ぶべきは「一人親方」一択です。一人親方で腕が良く、信頼できる人を見つけることができたら、ゴールは間近です。

 大手のリフォーム会社や工務店は、販管費が肥大化しているため、どんなに頑張っても一人親方より安く仕事をすることはできません。ただ一人親方にも難点はあって、彼らは根っからの職人なので、基本的に施主が言った通りにしか仕事ができません。ですから、彼らに仕事をお願いする時はこうして欲しいという内容を具体的かつ丁寧に伝えないといけません。そこまでできたら、あとは怖いものなしです。

 見出しにある通り、ゼロ円空き家だからと言って必ず儲かるとは限りません。でも、上記で書いたような手間を惜しまないことで、大儲けを狙えるのもまた事実です。仕入で高い下駄を履いているのですから、そのアドバンテージを無駄にせず丁寧にやっていけば、成功はそんなに遠くはありません。

新築1Rマンション投資が儲からない理由

 新築のワンルームマンションは、客付けがしやすく、融資もフルローンがおりやすいため、従来より初心者でもやりやすい物件として、勧誘が行われてきました。ただ最近は、その危うさについて解説するサイトや動画も増えており、新築ワンルームマンション投資は儲からないとの論調が高まっています。そこで、今回は新築ワンルームマンション投資がなぜ儲からないのかについて、実在する物件をもとに検証してみたいと思います。

 今回取り上げるのは、実際に楽待に掲載されていた物件です。具体的には、武蔵関駅から徒歩4分の場所にある区分マンションで、間取りは1K、販売価格は2,840万円、表面利回りは4%、管理費、修繕積立金は合せて8,300円です。

 この物件を、返済期間35年、年利2%のフルローンを利用して購入した場合、返済総額は約3,950万円となります。また、元利均等で返済する場合、毎月の返済は94,078円となります。賃貸による収入は、表面利回りが4%なので年間で1,136,000円、月間だと94,667円です。

 毎月の収支は、賃料の5%を管理手数料とすると、賃料94,667円-返済94,048円-管理費/修繕積立金8,300円-管理手数料4,733円=-12,414円となり、毎月1万円以上の赤字が出ることになります。出口は、ローンが完済した35年後に売却とします。35年後の賃料が6万円/月で表面利回り9%のオーナーチェンジ物件として売り出すと、売価は800万円です。

 一方で35年間の累積赤字は、-12,414円/月×12月/年×35年=約523万円。固都税が5万円/年とすると、さらに赤字が増えて698万円になります。ただ実際は、賃料は築年数が増すと下がっていきますが、反対に管理費、修繕積立金は築年数が増すと上がっていきます。そのため、所有期間が長くなると、毎年の赤字額はどんどん大きくなっていきます。また、賃貸の場合は2回目の更新となる入居後4年で退去するケースが多いですが、退去後直ぐに次の入居者が決まるとは限りません。一般に、築年数が増すと、客付にかかる期間も長くなります。

 このように、賃料の下落や管理費/修繕積立金の上昇、空室による無収入、募集時の広告費、退去時のリフォーム費などが嵩むと、上記の累積赤字にさらに何百万円単位でマイナスが加わるので、実際の累積赤字は恐らく1千万円をゆうに超えてしまう筈です。不動産投資は、物件の取得と売却の時には色々と手間がかかりますし、賃貸中も管理を不動産会社に任せるとしても、オーナーとして様々なモニタリングをしないといけので、手間なしという訳にはいきません。

 新築のワンルームマンションを投資向けに買うと、殆どの場合は、散々手間がかかったのに1円も残せないどころか、巨額の借金を作ることになってしまうのです。
まだ不動産投資は未経験という方であれば、この記事を読まれたら、さすがにこれから新築ワンルームマンション投資をやろうという気にはならないかと思います。

 では、運が悪いことに、既に買ってしまったという方はどうしたら良いか。これはもう、できるだけ早く売ってしまうに尽きるかと思います。
例えば、買ってから3年で売却できれば、赤字にはなってしまうかもしれませんが、かなり痛手を浅く抑えることができます。

 では、先ほどの物件で検証してみたいと思います。まず売却価格ですが、築3年であれば賃料は据え置き、表面利回りも4.5%だったら売れるので、今回の場合は2,524万円となります。累積赤字は、-12,414円/月×12月/年×3年で約45万円。これに固都税3年分の15万円を加えると、約60万円です。築3年だと、賃料の下落や管理費/修繕積立金の上昇、空室、募集時の広告費、退去時のリフォームなどはまだありません。

 残債は、返済期間3年、年利2%の場合の返済総額が2,928万円で、売却までの3年間の返済額が339万円なので、2,928万円-339万円=2,589万円となります。以上から、トータルの収支は、売却価格2,524万円-累積赤字60万円-2,589万円=約-125万円となります。

 実際には、購入時と売却時には、税金や登記費、仲介手数料などの経費が加わるので、赤字額はもう少し大きくなりますが、それでも35年間所有した場合よりは、
赤字幅を小さく抑えられる可能性が高いです。いずれにせよ、利回りで比べれば所有した期間が大きく違うので、3年後に売却した場合の方が有利であることは明らかです。また、3年後に売却した場合は、投資を行ってからまだ3年しか経っていないので、再起のための時間も十分に残っています。

 新築ワンルームマンションに限らず、何か新しいことを始める時は、可能な限り数字をおいてシミュレートし、本当に儲かるのか、落とし穴はないのかという
ことを見極めることが大事だと思います。

戸建貸家は、「修繕費のだだ洩れ」に注意

 今回は、戸建貸家の修繕費について書きたいと思います。

 戸建は、アパートやマンションと違って、賃貸目的で建てられることは殆どなく、大抵は土地の所有者が居住するために建てられます。
その後、所有者の転勤や子息の独立により住む人がいなくなったので、空き家にしないために賃貸に供されるというケースが、多いのではないでしょうか。

 なので、貸家として賃貸に出される時には、建ててから20年とか30年経っていることが多く、賃貸の前に原状回復工事を行っても、その後で色々と不具合が出てきてしまいます。戸建貸家はアパート、マンションと比べて客付をしやすいのは良いのですが、修繕費が嵩んでしまうのが難点です。
 
 弊社でも戸建貸家を何件か管理していますが、借主から何カ月にも亘って次々と不具合を指摘されたので、修繕対応に追われて、一時的に他の仕事が一切手に
つかなくなるという事態に陥ったことがありました。
 
 その物件は、築古でしかもかなり広い木造家屋でした。庭もあって、車が2台停められるスペースがありました。前の入居者が退去したので、畳の表替えや
障子の張替え、クロスの貼替え、室内クリーニング、、と一通り原状回復をした上で、次の入居者を募集しました。原状回復に結構費用がかかったこともあり、賃料はやや高めに設定しましたが、駅から近いこともあり、ほどなく次の入居者が決まりました。

 ところが、次はかなり几帳面な方が入居したため、入居早々から家屋や設備の不具合を次々と指摘され、暫くの間、修繕対応に付き合わされることになりました。とはいえ、床の撓みなど大きな不具合は原状回復の時にいずれも直してあったので、指摘されたのはかなり細かな不具合です。室内クリーニングの不備に始まって、エアコンのリモコン故障、トイレの止水漏れ、洗浄便座の不具合、、と言った具合です。一度にまとめて言ってくれれば
まだ良かったのですが、だらだらと何回も言われたので、大家さんや工事業者さんとのやり取りがかなり煩雑になりました。

 当初は家屋が古いから仕方ないかと諦めていましたが、その後、経験を重ねる中で、契約書を作る時に細かな工夫を加えることにより、こうした事態を幾らか回避できることが分かってきました。

 1つは設備についてですが、そのままだと貸主に修繕義務が発生するので、いつ壊れても不思議でないような代物は残置物としてしまうのも1つの手です。残置物であれば修繕義務はありません。但し、原状回復義務もありませんが、、

 もう1つは修繕主体についてですが、特約により「小修繕は借主負担」 としてしまえば、上記のような細々とした修繕対応に振り回されることはなくなります。因みにこのことは賃貸不動産経営管理士のテキストにも書かれていて、法的に無効になるような内容ではありません。小修繕の場合、1つ1つは高くなくても、種類が多岐に亘ったり、回数が重なると、費用も馬鹿にできません。弊社の件の場合、せっかく空室期間を短く抑えることができたのに、修繕費が嵩んで大家さんも結構な出費となってしまいました。

 管理会社はもっと悲惨です。管理会社の場合は、修繕費の大きい小さいはあまり関係なくて、修繕の頻度が重要ですが、本件のように毎月修繕対応があると、賃料×5%の管理費では完全に赤字です。管理は細々としたノウハウの蓄積が重要とよく言われますが、そのことを痛感した一件でした。

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