千葉不動産コンサルの日進興業㈱

地方都市で町の不動産屋が生き残るための道

INDEX

1.町の不動産屋の現状
・暇そうに見える不動産屋が潰れないのはなぜか?
・町の不動産屋は、勝ちパターンか副収入がないと生き残れない
・なぜ不動産屋は未公開物件を有難がるのか?

2.生き残るための改革の一手
・賃貸管理は仕組みの活用で、相当な省力化が可能
・買取再販で、経費を切り詰めるべき理由
・町の不動産屋こそ、補助金や支援金をチェックすべき
・町の不動産屋でも、自社HPを持つべき理由
・自社HPは、自作自営でやってみた方が良い
・仲介+リフォーム元請けで収入アップ

町の不動産屋という商売の魅力とは?

 「石を投げれば不動産屋に当たる」という言葉がありますが、駅前や商店街など人通りの多い場所に行くと、必ずあるのが町の不動産屋です。1軒、2軒は当たり前で、中には西千葉駅前のように、3~4軒が隣り合って店を構えているケースもあります。

 統計を見てもその通りで、不動産適正取引推進機構によると、令和3年度末の時点で全国には約12万9千もの宅建業者がいます。8年連続で増え続けており、
令和3年度は約6,600業者が新規に免許を取得しています。従業者数も同様で、令和3年度末の時点で約60万人が在籍していますが、前年比で約7千人増えており、10年連続の増加となっています。

 一方で、不動産業界は従業員が5人以下の零細企業が95%以上を占めています。このことから、中には他業界から大企業が参入するケースもあるかと思いますが、
新規参入した宅建業者の殆どは、町の不動産屋としてやっていると推測されます。いつも暇そうにしている、お客さんが入っているように見えないなど、ややもするとネガティブなトーンで語られがちな町の不動産屋ですが、これらの統計を踏まえると、多くの人から魅力の高いビジネスとして認識され、人気を博しているようです。

 そこで今回は、改めて町の不動産屋という商売の魅力について考えてみたいと思います。
私が考える町の不動産屋の魅力は次の5つです。独断と偏見によるものではありますが、考え方や理由も併せてご覧いただければ、ご納得いただける部分も少なからずあろうかと思います。

 第1は参入障壁が低いことです。これは他のコラムでも書いていますが、宅建士の資格と100~200万円の資金があれば、宅建業免許の取得、保証協会への加入、
事務所の開設を経て、晴れて町の不動産屋として開業することができます。

 第2は粗利率が高いことです。町の不動産屋のビジネスは、主に仲介、買取再販、賃貸管理の3つがありますが、仲介や賃貸管理であれば、買取再販のような仕入がありませんので、殆ど経費がかかりません。コストの大きなものと言うと、事務所の賃料と広告費くらいです。

 第3は商品単価が大きく、一獲千金が可能なことです。例えば、3千万円の土地の売買を仲介すると、片手仲介でもたった1回の取引で約100万円の手数料を手に
することができます。これがラーメン屋だったら大変です。100万円を稼ごうと思ったら、1杯千円のラーメンを千杯売らないといけません。しかも、ラーメン屋の場合は原料費や光熱費などの直接経費が結構かかるので、町の不動産屋のように殆どが粗利になる訳ではありません。

 第4は多様なビジネスを手掛けられることです。町の不動産屋が手掛けるビジネスは、主に仲介、買取再販、賃貸管理の3つがありますが、これらはビジネス
モデルが全く違うので、ポートフォリオの最適化という意味でも好都合です。例えば、仲介だけやっていると収益性は申し分ないですが、収入が不安定になりがちです。ですが、これに賃貸管理を組み合せることで、収入の安定性を強化することが可能です。

 また、不動産屋のビジネスの周辺には、リフォーム、解体、設計、レンタカーなど、本業とのシナジーが期待できるビジネスが色々あります。これら周辺ビジネス
を上手く取り込むことで、成長の幅を拡げることが可能です。また、本業が苦しい時も会社が潰れるのを防ぐことにもつながります。

 第5は元請けのポジションを取れることです。不動産会社は、町の不動産屋のような零細企業であっても元請けのポジションにあるため、プラットフォーマー
として、ビジネスの主導権を取ることができます。同じプラットフォーム内のプレーヤとしては、売主/貸主、買主/借主の他に、司法書士、土地家屋調査士などの士業、リフォーム、解体、クリーニングなどの工事業者などがいます。零細企業でも元請けとして主導権を取れるというのは、不動産業界ならではの特性だと思います。他業界ですと、製造業でも建設業でも、そうは問屋が卸しません。

 第6は高齢になっても仕事ができることです。土地勘や人脈など、長年の経験を強みにできるため、高齢であることが寧ろ強みになると言っても過言ではありません。
また、肉体労働や作業量に応じて報酬が決まるビジネスではないので、認知症にでもならない限り、ずっと続けることができます。

 このように見ていくと、町の不動産屋というビジネスは魅力が満載です。今後も宅建士の資格を取って、この業界に参入する人は増え続けることでしょう。
このことは、既にいる人からすると競争の熾烈化にもつながるので脅威ではありますが、努力と工夫により差別化を図っていくしかありません。よく言われることではありますが、「ナンバー1よりオンリー1」ということだと思います。ひいては、それがサスティナブルな生き残りにつながると思います。

暇そうに見える不動産屋が潰れないのはなぜか?

 不動産に関する七不思議などを語る時に必ず挙げられるのが、この「町の不動産屋がつぶれないのはなぜか」というテーマです。

 ここで町の不動産屋と呼んでいるのは、駅前や商店街などを歩いているとよく見かける、物件のチラシが窓にべたべたと貼られているようなお店のことです。皆さんも一度は見たことがあるかと思いますが、チラシの隙間から中を覗いてもお客さんらしい人は誰もいなくて、店の人たちも大抵は暇そうにしています。しかし、老朽化した建物や色あせた看板などを見ると、かなり昔からやっていることは疑う余地がなく、少なくとも中にいる従業員が食べていけるだけの稼ぎはあるように見えます。

 そこで今回はモデルケースを設定して、暇そうに見える不動産屋が一体どのくらい稼いでいるのかを、簡単に試算してみたいと思います。

 まずビジネスモデルですが、不動産屋が手掛けるビジネスは、大雑把に言うと、買取再販、仲介、管理の3つがありますが、彼らの場合は、大抵、賃貸物権の管理に軸足をおいています。普段は賃貸物件の管理が中心ですが、そこから派生する仲介の仕事もたまにやる、そんなビジネススタイルです。賃貸物件の管理をやっていると、例えば、解約によりアパートやマンションの部屋が空いた場合は、大家さんから、次の入居者の募集や賃貸契約の仲介を依頼されることが多いですし、また、大家さんが資産の組み換えなどのために、持っている賃貸物件を売却する時は、買主の探索や売買契約の仲介を
依頼されることもあります。

 ただ、今回取り上げている不動産屋の場合は、仲介と言っても基本は元付です。
人通りが多い場所に店舗を構えていても、賃貸や売買の物件を探しているお客さんを積極的に呼び込むようなことは、あまりしません。

 次に管理物件の内容ですが、種別で言うとアパートや戸建の貸家、小ぶりの店舗/事務所、あとは月極駐車場などが中心になります。
また、彼らが管理する物件のボリュームですが、不動産屋によって結構ばらつきがありますが、だいたい2桁から3桁の範囲には収まっていると思います。

 最後に彼らの収入ですが、大きくは賃貸物件の管理による手数料と、賃貸や売買の仲介による手数料の2つがあります。

 前者は、毎月入ってくる管理手数料(賃料の3~7%)と更新時に入ってくる更新手数料(賃料の50%)があります。なお、更新時については、更新手数料の他に事務手数料(賃料の50~100%)をもらっている不動産屋もいるようです。

 後者は、不定期に発生するものなので、前提をおくことにします。まずは賃貸の仲介ですが、直ぐに出てしまう人もいれば、ずっと居る人もいますが、
2回目の更新、つまり4年経つと出ていく人が増えると言われており、だいたいその頻度で仕事があると思います。仲介手数料は、賃料の1か月分です。客付を自分でやらない場合は、客付業者に仲介手数料を100%取らせるのが常習的ですが、その場合は礼金と相殺という形で、業務委託料をやはり賃料の1か月分もらっているケースが多いかと思います。

 次に売買の仲介ですが、これは全くの不定期になりますが、仮にアパートを10棟、貸家を10戸、月極駐車場を10か所管理しているとしたら、毎年1件くらいは仕事があるのではないでしょうか。こちらは仲介手数料は、物件価格の3%+6万円および消費税です。客付も自分でやれば両手取引となり、仲介手数料はこの2倍ですが、今回の場合は片手取引が殆どだと思います。

 さてこれで、収入の前提が揃いましたので、彼らがどのくらい稼いでいるのかを実際に計算してみたいと思います。なお、簡単のため、管理物件は6万円/月の住居を100戸管理しているとして計算します。

 まずは賃貸物件の管理による手数料ですが、毎月の管理手数料は、6万円/月×5%×12か月×100戸=360万円/年、更新時の手数料は、
6万円÷2年×50%×100戸=150万円です。次に賃貸や売買の仲介による手数料ですが、賃貸の仲介手数料は4年毎に退去があるとすると、6.6万円÷4年×100戸=165万円、売買の仲介手数料は毎年3千万円の物件が売却されるとすると、3千万円×3.3%+6.6万円=105.6万円となります。ということで、管理手数料が510万円/年、仲介手数料が270.6万円/年となり、トータルで780.6万円/年となります。

 実際にはこれ以外にも、飛び込みのお客さんがやってきて賃貸の仲介をしたりとか、近所の人がやってきて土地の売却の仲介をしたりなど、賃貸物件の管理とは
紐づかない仕事もあるので、収入も1千万円近くにはなるでしょう。経費は、集客に力を入れると広告費がかなり嵩みますが、それもありません。大きな出費は店舗の家賃くらいで、あとは殆どを従業員の給料に回せるはずです。従業員と言っても、町の不動産屋の多くは1人社長や家族経営なので、贅沢はできないまでも食べていくには困りません。

 さらに長年やっている不動産屋であればお金もたまっているので、自社物件を持っていて、そこからも毎月収入を得ているケースもあろうかと思います。自社物件を持つと収入も段違いに増えていきますので、トータルで2千万円、3千万円、、という金額も夢ではありません。

 さてこれまで具体的な話をずっとしてきましたが、普遍化すると彼らのビジネスは既得権益を強みとしたビジネスの1つだと言えます。賃貸物件というお金のなる木を幾つも持って、それが既得権益となっているからこそ、しゃかりきに働かなくてもやっていけるのです。

町の不動産屋は、勝ちパターンか副収入がないと生き残れない

 他のコラムでも書いた通り、不動産業界は従業員数5人以下のいわゆる町の不動産屋が95%以上を占めています。また、不動産業界では毎年5千社以上の宅建業者が開業している一方で、それに近い数の宅建業者が毎年廃業していると言われています。全国には宅建業者が約13万社ほどいますが、全体の5%近くが毎年入れ替わっていることになります。ですから、入れ替わりの激しい不動産業界の中で、長く生き残るのはそれなりに大変だということが分かるかと思います。

 因みに、宅建業者としてだいたい何年のキャリアがあるのかを簡単に見抜く方法があるのですが、ご存知でしょうか。
不動産会社のHPや営業マンの名刺などに、「千葉県知事免許(1)第○○号」といった番号があるのを見たことがあるかと思います。これは宅建免許番号と呼ばれるもので、宅地建物取引業を行う免許を受けた時に割り振られます。

 この中で括弧内の数字には大事な意味があって、免許の更新回数を表しています。免許の更新は5年に1度なので、例えば、括弧内の数字が5だったら、宅建業者として少なくとも20年はやっているということが一目で分かります。もちろん例外もあって、不動産会社をM&Aにより手に入れた場合は、被買収会社の免許番号を引き継ぐことができるので、買収会社としては1年目でも括弧内の数字が5や6であることもあり得ます。

 さて本題に戻りますが、不動産業界は参入障壁は低いですが、その分、業界内での競争が激しく、長期間に亘って生き残っていくのは容易でありません。宅建業は次の2つがあれば、誰でも開業することができます。1つは宅建士の資格で、もう1つは150~200万円ほどの開業資金です。

 1つ目については、宅建業法により宅建業に従事する人が5名いたら、うち1名は宅建士でないといけないため、1人で開業する場合は開業者自身が
宅建士の資格を取得しないといけません。他のコラムでも書いた通り、宅建士の資格取得は簡単ではありませんが、正しい方法で勉強すれば誰でも合格できます。大学の入学試験などと違って、地頭の良し悪しは殆ど関係ありません。

 2つ目ですが、まず絶対に必要な資金として、大抵は保証協会に加入するので弁済業務保証金分担金が必要です。1人で開業する場合は、本店分のみなので60万円です。あとは事務所の開設費が必要です。10万円/月の事務所を借りるとすると、初期費として50万円は必要でしょう。これに事務家具やOA機器、通信費が上乗せされるので、トータルだと安く抑えても100万円はかかるかと思います。

 このように宅建業は参入障壁が低いので、全国各地至るところに不動産屋があります。日本には約13万社の宅建業者がいると書きましたが、これはコンビニ(5~6万店舗)やクリーニング店(10万店舗)を遥かに上回る数字です。また、宅建業の取引金額はほぼ横ばいですが、業者数は今でも少しずつ増えているので、不動産業界は年々競争が熾烈化していると言って良いと思います。

 このような環境下で、不動産屋として生き残るにはどうしたら良いのでしょうか。何か成功の秘訣と言えるようなものがあるのでしょうか。この問いに対する答えですが、同業他社で長く不動産屋を続けている方の仕事のスタイルを見ると、大抵は本業の勝ちパターンか、本業以外の副収入を持っているように見えます。

 勝ちパターンというのは、こうすれば収入を得られるというその業者ならではの型があるか、です。例えば、仲介に軸足をおく業者が、「うちは地元密着でやっているから、月に1件は売却の相談がきているし、売り先はいつも高値で買い取ってくれるハウスビルダーが何社かいる」と言っていたら、その業者は勝ちパターンを持っているといえるでしょう。買取再販の場合も同様で、仕入と売却でそれぞれ安定したチャネルを持っていたら、勝ちパターンを確立できていると言えます。

 本業以外の収入は、リフォーム業やレンタカービジネスなど、宅建業とシナジーのある事業を手掛けていて、かつ、それにより十分な収入があるかがポイントです。柱となる副業があれば、本業での売上が思わしくない時でも、副業による収入が会社を支えてくれます。因みに、自社物件を持っていて毎月、家賃収入が入っているくるというのも、立派な本業以外の収入です。

 要はその会社に、安定的に収入を得るための仕掛けがあるか、なのです。たまに入ってくる収入だけでは、仮にある時大金が入ってきたとしても、いつかは会社の経営が行き詰ってしまいます。たとえ小さくても安定的にお金を稼げる会社は、無理な投資をしない限りは潰れません。

なぜ不動産屋は未公開物件を有難がるのか?

 不動産業界に足を踏み入れた当初、不思議に思ったことの1つですが、この業界の人たちはなぜ未公開物件の情報を有難がるのか疑問に思っていました。今ではこの違和感も解消されていますが、頭の整理も兼ねて、今一度この謎に迫ってみたいと思います。

 まずは、未公開物件とはどんな物件なのかについて、簡単におさらいします。一般には、未公開の意味合いは大きく2つあるとされています。
1つは、一般の人には未公開という場合です。例えば、アットホーム、スーモなどの不動産ポータルサイトや不動産会社のHPに掲載がある場合は、未公開とは言いません。また、ネット掲載はないけれど紙媒体のチラシは撒かれているという場合も、対象者は少ないですが不特定多数の人が見ることに変わりはないので、やはり未公開とは言えません。

 もう1つは一般の人だけでなく、宅建業者にも未公開という場合です。これは要は、レインズに登録されていない物件のことです。媒介契約が専任と専属専任の場合は、
宅建業法によりレインズへの登録が義務付けられているので、ルール上は一般媒介にしないといけません。冒頭で業者が欲しがっているのは、もちろん後者の方です。レインズの物件は、業者であれば誰でも見られますし、まじめに仕事をしている業者であれば、毎日一通り出物をチェックしているのが普通です。

 次に、なぜ未公開物件が生まれるのかについて考えてみます。これも大きく2つのパターンがあって、売主が未公開にしたい場合と宅建業者が未公開にしたい場合があります。前者は、人に知られたくないというのが主な理由です。人と言っても色々ありますが、代表的なものとしては、近所の人、金融機関、管理会社が挙げられます。近所の人は一般の人が自宅を売る場合ですが、世間体が気になるからです。金融機関はローンを組んでいる場合ですが、繰り上げ返済しようとしているのを知られたくないからです。管理会社は不動産投資家が物件を売る場合ですが、管理会社のモチベーションを下げたくないからです。

 後者は、意図的に未公開にしています。レインズに登録すると、宅建業者が買主にならない限り、仲介手数料は分かれとなり、物件価格の3%+6万円+消費税しか
手に入りません。しかし、レインズに登録せずにエンドのお客にダイレクトに売ることができれば、この2倍の手数料をもらうことができます。公開した方が色々な人の目に触れるので、同じ価格であれば、売れる可能性は高くなります。なのにあえて公開しないのは、そこまでしなくても売れるという確信があるからです。不動産屋は皆、そのことを分かっているので、皆、未公開物件を欲しがります。

 公開物件の中にも勿論良い物件はあるのですが、レインズは多くの業者が見ているので、良い物件が登録されると直ぐに買付が入って消えてしまいます。
弊社でも条件の良い物件をレインズに載せたところ、登録から20~30分で買付証明のFAXが届いて、驚いたことがあります。2億円近くの物件でだったので、その大胆な決断にも驚きました。

 一方で一般市場で売れなかった物件を買取業者に持ち込むと、レスポンスすらもらえないという有様です。買取目線を回答してくれても、喧嘩を売っているような
価格だったりします。一般市場で売れ残るような物件は、どうせ大した物件ではないだろうからと、検討にすら値しないと思われてしまうのです。ですから、売却物件を公開する時は気を付けないといけません。条件が良ければ問題ないですが、条件が悪いと、あとで業者に持ち込んだ時に思いっきり安く買い叩かれてしまいます。

 しかし、未公開物件だからイコール良い物件という訳ではありません。未公開物件の情報を見ていると、レインズで公開されているのと大して変わらないレベルの
ものが少なくありません。また、未公開なのに売れ残っているという物件も数多くあります。結局良い物件は公開、未公開に関係なく直ぐに買われてしまうので、未公開でも先の方で紹介された物件でないと掘り出し物とは言えません。要は単なる未公開ではなく、手垢のついていない未公開であることが大事なのです。

 目下は出物が少なくなっているので、良い物件が業者の目に供されれば、確実に買われてしまいます。一方で、物件を紹介してくれる元付業者や売主との関係が強固でないと、順番は早く回ってきません。これだと既得権益を持たない業者は、歯が立たないので面白くありません。ですが視点を変えると、例えば、レインズに掲載されている物件でも、長く売れ残っているものは大胆な指値が利く可能性があります。勿論そのような物件は瑕疵を含んでいることが多いのですが、それらを克服できれば、その物件は一気にうまみのある物件に大化けすることになります。

 生き馬の目を抜く不動産業界で良い物件を手に入れようと思ったら、業界内の常識や慣習だけを見ていては成果を上げることはできません。株の世界に「人の行く裏に道あり花の山」という有名な格言がありますが、不動産の世界でも同じです。ちょっと一手間をかけることで、他社との競争に巻き込まれることなく、儲けを手中に収められる。そんな戦略を練り上げることがこれからは大事です。

 手垢のついていない未公開物件を追求するという旧来型の営業も否定はしませんが、競争が激しく、まさにレッドオーシャンです。レッドオーシャンでの競争を続けていると、いつかは消耗してしまいます。レッドオーシャンでの戦いで体に汗をかく前に、ブルーオーシャンを探すために脳に汗をかくことこそが大事なのです。

賃貸管理は仕組みの活用で、相当な省力化が可能

 中小企業庁の統計によると、2016年時点で不動産業界は従業員数5人以下の事業者が全体の97.4%も占めており、典型的なフラグメント市場(断片化市場)となっています。

 ま
た、就業者全体に占める高齢者の割合も、他の産業に比べてダントツに高く、2019年労働力調査(総務省統計局)によると、55歳以上が44.4%、65歳以上が26.6%となっています。因みに、製造業の場合は55歳以上が25.8%、65歳以上が8.8%です。

 このような背景もあってか、不動産業界は新しい技術や仕組みが世に出ても、なかなか浸透せず、旧態依然のやり方がまかり通っています。

 私自身も、不動産業界に足を踏み入れて間もない頃、いまだに電話やFAXが日常的に使われている光景を見て、びっくりしました。
また、在宅勤務やIT重説なども、業界紙等ではよく取り上げられていますが、自分の周りで採り入れているという話はあまり聞いたことがありません。中小の場合は、HPがない会社もゴロゴロしていますし、あっても滅多に更新されていないような会社が殆どです。

 不動産会社の業務の中でも、特に賃貸管理はステークホルダとのやり取りや煩雑な事務手続きが山のようにあるので、新しい技術や仕組みを活用することでかなりの省力化が期待できます。

 例えば、家賃管理一つとっても、連帯保証人を付けるやり方だと滞納があった時、借主に連絡して入金の見込みがなかったら、今度は連帯保証人に連絡して、、と、かなり面倒なことになりますが、家賃保証サービスを活用すれば、滞納があったら保証会社に連絡して終わりです。2~3日で保証会社から家賃が振り込まれます。借主への督促は保証会社がやってくれます。

 さらに、家賃の入金を借主自らが行うのではなく、口座振替にすることで、毎月、目を凝らして入金を確認する作業から解放されます。保証会社の口座振替
サービスを活用すると、初めの手続きも簡単ですし、万が一口座振替ができなかった場合の対応も保証会社がやってくれます。

 これに以前のコラムで書いた「小修繕は借主負担」を契約書に書き加えると、不動産管理の仕事はかなり省力化することができます。そうずれば、
本業をしながら大家さんをやっている方でも、自主管理ができます。

買取再販で、経費を切り詰めるべき理由

 今回は、不動産の買取再販をした時の売却益に占める、経費の割合について考えてみたいと思います。

 まず売却益ですが、買取再販では、文字通り、買った時の価格と売った時の価格の差が売却益になります。もう少し正確に言うと、買取時の物件価格+経費と、売却時の物件価格-経費の差が売却益になります。物件価格が高いと、錯覚により経費は大した金額に見えないので、どんぶり勘定でやってしまいがちです、しかし、実際に手元に残るのは、あくまで買取時と売却時の差分であり、これが経費率を計算する時の分母になることを忘れてはいけません。

 例えば、古家付きの土地を買い取った後、家屋を解体し更地にして、売却したとします。この時にかかる経費としては、次のようなものが想定されます。

 取得時にかかる経費としては、税/登記関係で不動産取得税、登録免許税、司法書士への報酬、固都税清算分があり、あとは、仲介業者が間に入る場合は仲介手数料がかかります。所有時は、今回の場合は更地にするために家屋の解体費がかりますが、それ以外にも、境界が明確でない場合は確定測量費、地目を変更した場合はそのための登記費、ガス栓や雨水桝などが越境している場合は移設のための工事費がかかります。売却時は、取得時と同様、仲介業者が間に入る場合は仲介手数料がかかります。

 例として、地積が40坪、家屋の延床面積が35坪の物件を、1,000万円で買って、1,600万円で売ったとします。

 まず取得時の経費ですが、税/登記関係は立地にもよりますが、取得価格の5%と見て約50万円、仲介手数料は3%+6万円+消費税で約40万円がかかります。次に所有時ですが、家屋の解体費は接道状況にもよりますし、また、そもそも業者間でのばらつきも大きいですが、ざっと約200万円、確定測量も境界確認に役所が含まれるか否かで価格が違いますが、ここでは民間のみとして約40万円、地目変更の登記費は5万円ほどかかります。移設の工事費は、ガス栓は通常、ガス会社が無償でやってくれます。一方、雨水桝は有償で7万円といったところでしょうか。最後に売却時ですが、仲介手数料が約59万円かかります。

 以上から、経費は取得時が90万円、所有時が252万円、売却時が59万円なので、売却益は199万円となります。売却価格に対する粗利率は約12.4%です。
ただ、これは割と儲かったケースになると思います。実際は、買取再販の粗利率は意外と低くて、色々な人の話を聞くと平均で5~10%ほどだと思われます。昨今は競争が熾烈化しているので、業者のとる利幅はどんどん小さくなっています。そのため、1件当たりの利益は小さくても、高速回転させることで必要な利益を確保している業者が多いようです。

 本題に戻りますが、仮に経費として10万円余分にかかってしまった場合、物件の取得価格に対しては1%に過ぎないので、錯覚により、大したことないだろうと
思いがちですが、売却益に対しては5%でなり、結構なインパクトになります。上記のケースでこのレベルですから、粗利率が10%或いはそれ以下になると、10万円のインパクトはもっと大きくなります。家屋解体やリフォームのように一度に100万円以上かかってしまう場合は、ちょっとした気の緩みで直ぐに10万円、20万円と費用が嵩んでしまいますので、気を付けないといけません。特にリフォームは昨今は資材価格の上昇により、価格が上がっているので、足元を掬われないように注意が必要です。

町の不動産屋こそ、補助金や支援金をチェックすべき

 新型コロナウィルスの流行を受けて、外出時は常にマスクをするなど、人々の生活様式は大きく変わりました。ですが、変わったのは人々の生活様式だけではありません。行政によるお金の使い方も大きく変わりました。

 コロナ禍による収入の落ち込みを補ったり、ユーザニーズの変化等を踏まえた事業の再構築を後押しするため、国や都道府県、市町村がそれぞれ挙って補助金や支援金などの公的支援を行ってきました。コロナ禍に関連する公的支援は、補助金や支援金以外にも、給付金、協力金、助成金、納税猶予など、種類も多岐に亘っています。

 また、どんな人を対象に幾ら支給されるのか、そのためにどんな手続きを踏んだら良いのかも、それぞれ違っているので、利用者からすると非常に分かりにくいものとなっています。そのため書店に行くと、それら公的支援に関するマニュアル本が何冊も並んでおり、もはや一大マーケットを形成するにまで至っています。全てを取り上げると一話完結という訳にはいきませんので、それらはマニュアル本に譲るとして、ここでは町の不動産屋との関連がより深いと思われるものについて考えてみたいと思います。

 例えば補助金でいうと、目下のところ町の不動産屋が利用できる補助金としては、経産省がやっている事業再構築補助金が代表的です。かなり規模の大きな補助金で、
従業員20人以下の事業者でも最大2千万円まで補助金をもらうことができます。但し、もらうためには受給者による投資が必要で、投資後に投資額の一部が補助金として支給されます。とはいえ、事業再構築補助金の場合は、受給者が中小企業ならば投資額の2/3もの金額が補助されます。

 もう1つ、町の不動産屋が利用されやすい公的支援として支援金があります。経産省がやっていた事業継続支援金が代表的ですが、残念ながら6月に終わりました。ただ、自治体レベルで言うと、今でも様々な都道府県、市町村が支援金の受給者を募集しています。弊社の場合は千葉市にあるので、2021年は国、県、市の支援金が同時に行われていました。国と市は同時需給がダメでしたが、県はその縛りがなかったので、県と市の両方から受給することができました。

 支援金は補助金に比べるともらえる金額が小さいですが、受給条件を満たしていれば指定された金額のお金を直ぐにもらうことができます。また補助金と違って、受給者による投資がなくてももらえます。小額でも良いから、より早くよりお手軽にお金をもらいたい人には、支援金がお勧めです。

 さて、補助金や支援金に対する理解もだいぶ深まってきたかと思いますが、いわゆる町の不動産屋こそ、このような公的支援に対してアンテナを高く張るべきだと考えています。なぜならば、1つは町の不動産屋は企業規模が小さく補助金や支援金の受給による業績へのインパクトが大きいから。もう1つは、業態として受給条件を満たしやすいからです。

 まずは業績へのインパクトについてです。
中小企業庁によると、不動産業界は従業員数5人以下の小規模事業者が95%以上を占めていますが、これら小規模事業者の売上(ネット)は平均で約2千万円です。ですから、仮に支援金として100万円をもらっただけでも、業績にかなりのインパクトを与えることになります。

 同じようなことは飲食店でも言えます。2021年に感染拡大防止協力金が導入され、時短営業に協力する店舗には1日6万円が一律支給されました。年中無休のお店だと、1か月で200万円近くものお金をもらったことになります。これにより大手は地獄を見ましたが、個人や家族でやっているようなお店はコロナ禍前よりも収入が増えて、皆に恵比須顔だったのを憶えています。また、弊社の近所を見渡すと、それまで閑古鳥が鳴いていたような飲食店は、協力金の支給と同時にいっせいに皆、店を閉めてしまいました。協力金で十分生活していけるので、客が殆ど入らないのに店を開けるのが阿保らしくなってしまったからでしょう。

 飲食店の話がやや長くなりましたが、次に受給条件です。
他のコラムでも書いた通り、町の不動産屋が手掛けるビジネスというのは大きく3つあります。仲介、買取再販、賃貸管理です。この中で、仲介や買取再販は仕事が単発かつ不定期なため、月次で見ると売上の振れ幅が大きくなりがちです。

 支援金の受給条件を見ると、大抵は「前年同月比、或いは前々年同月比で○%以上売上が減っていること」と書かれていますが、町の不動産屋は売上の振れ幅が大きいので、この受給条件を満たしやすいのです。もちろんコロナ禍の影響で売上が下がったという月もありますが、一方で、昨年の9月は大型物件の仲介があったが今年の9月は仲介が1件もなかったので、前年比で50%以上も減ったというような月が必ずあります。

 支援金の申請書を見てチェックするのは、役所から委託された民間の事業者ですが、彼らは受給条件を満たしているか否かを機械的に見ているだけなので、どう見てもコロナ禍の影響をあまり受けていないような事業者でも、お金を受け取っています。コロナ禍と売上低下の因果関係となると機械的にはチェックできなくて、そこが盲点になっているというのが、これら公的支援の本質的な問題と言えるでしょう。

 これでコロナ禍の公的支援、特に補助金や支援金が、町の不動産屋にいかにフィットしたものか理解できたかと思います。特に支援金は得することはあっても損はありません。補助金は投資を伴うので慎重さも必要ですが、元々投資を考えていたのであれば、やはり利用しない手はありません。

 ただ行政は、HPで案内をしたり、質問への回答はくれますが、それ以上のことはやってくれません。自ら高くアンテナを張っていないと、その存在を知った時には
既に終了していたということにもなり兼ねないのです。どうしても忘れてしまうという人は、毎月決まった日にチェックするよう、カレンダーやアウトルックに書き込んでおいてはいかがでしょうか。

町の不動産屋でも、自社HPを持つべき理由

 弊社のHP(ホームページ)は、お陰様で多くの方にご覧いただいております。また、ご覧になった方からは、お問合せもいただいております。ご存知の方も多いかと思いますが、HPの閲覧状況はPVやセッション数といった指標で測ることができます。PV(ページビュー)はページが表示された回数、セッション数はユーザがサイト訪問した回数を意味しています。

 一説によると不動産会社の場合は、月間のPVが1万を超えるとその会社への問合せの件数が30件/月を超え始めると言われています。つまり、1日に1件はHP経由での問合せが入るようになるということです。月間のPVが1万というと1日平均で300PVなので、達成するのは簡単ではありません。弊社は会社のHPを開設して約2年が経ちますが、まだ桁が1つ足りません。また、月間PVが1万を超えてやっと1日1件の問合せなので、考えてみると結構シビアです。しかも、その問合せも全てが売買や賃貸の成約につながる訳ではありません。つながるのはその何割か、下手すると何%です。

 このような実情を踏まえると、自社HPを作っても労多くして益少なしなので、やる意味があまりないのではないかと思われるかもしれません。私もそう思った時期がありましたが、今思うとやはり自社HPはあった方が良いと思っています。もっと言うと、PVやセッション数が大して多くなかったとしても、あった方が良いです。たとえ、町の不動産屋であったとしても。

 自社HPを持つ主な目的ですが、物件情報を取っ掛りにお客さんを呼び込むためというよりは、物件情報を見たお客さんに自分たちが信用に値する会社だという
ことを伝える処にあると考えています。不動産に限らずどの業種でもそうですが、HPによる集客は簡単ではありません。

 例えば、自社HPに物件情報を載せたとしても、Googleで上位表示させることは
まずできません。物件のキーワードで検索した場合、通常は、Googleの1ページ目は大手の不動産ポータルサイトがひしめき合っています。とても町の不動産屋が割って入っていけるような状況ではありません。上手くいけば2ページ目以降に表示されることもありますが、そこまで粘り強く検索してくれるお客さんはなかなかいません。目下はそのような状況なので、物件を探してネット検索している人がダイレクトに不動産屋のHPにやってくることはかなり難しいと考えた方が良いでしょう。

 一方で、不動産ポータルサイト等で物件情報を見た人が広告主の会社名を確認した上で、その会社がどんな会社かを確認するためにHPにやってくることはよくあります。その時に会社のHPがないと、怪しい、大丈夫かという印象を与えてしまいます。またHPがあっても、コンテンツが極端に少なかったり長期間更新がされていない状態だと、お客さんの信用を得ることは難しいでしょう。

 HPは立派だが、仕事をお願いしたら全然だめだったという場合も多々ありますが、HPがまずいと仕事はきちんとやっているのにネガティブな印象を持たれたり、
場合によってはお客さんが逃げてしまう可能性があるのです。また、保証協会などのHPでは会員企業の紹介をしているので、自社HPがなくても企業概要ぐらいは伝えることができますが、それが限界です。ここならば安心して任せそうだと思わせる処までは到底辿りつきません。

 自社HPを作るもう1つの狙いは、ソリューションの提供を通じた顧客作りです。
例えば、次のような悩みを持った人がいたとします。相続により土地を引き継いだけれど、直ぐに売るつもりはないので収益化の方法を考えたい。狭い土地だけれど、少なくとも固都税の分くらいは賄えるようにしたい。このような場合は、狭小地の利用方法についてのコンテンツを載せることで、その人をHPに呼び込むことができます。SEOの観点でも、物件情報よりお客さんの悩みや困りごとをキーワードにした方が、Googleでの上位表示を狙いやすいと思います。

 悩みを取っ掛りにやってきた訪問者は、大抵は他にも悩みがあるので、それにも応えられればより長くHPに留まってくれたり、或いは、困った時に今度は
ダイレクトに足を運んでくれたりします。コンテンツを作る上で注意すべきことは、反響目的で作らないことです。反響目的のHPは売り込みが強くなってしまうので、それに気付かれると折角やってきた訪問者を逃してしまうことになります。

 あと、PVを増やすには情報の鮮度も重要です。そのためには毎日1件ずつでも良いので、更新を続けることが大事です。いつ見ても同じコンテンツしかないようでは、HPへの訪問者を常連さんとして囲い込むことはできません。HPのコンテンツだけで鮮度を保つのが難しい場合は、並行してメルマガも運営して、未公開物件の情報を定期的に配信するなど、工夫を加えることが大事です。

 ソリューションコンテンツによりお客さんをHPに呼び込み、物件情報のメルマガによりお客さんをファン化するというサイクルを継続的に回していけば、その不動産屋は強力な顧客基盤を築くことができると思います。

自社HPは、自作自営でやってみた方が良い

 前回のコラムでは、たとえ町の不動産屋であっても自社のHPを持つべき良い理由について書きました。今回はその続編として、自社HPをどう作り、どう運営するのが良いかについて、私の思う処を書いてみたいと思います。

 結論から言うと、HPは自社で作って、自社で運営する自作自営のスタイルをお勧めします。弊社も会社のHPは自作自営でやっています。
理由は大きく2つあって、1つはコストが安く済むから、もう1つはコンテンツの充実を図りやすいからです。

 まずは1つ目です。HPの作成を外部に委託すると、集客のためのしっかりとしたHPの場合、イニシャルコストとして平均で70~80万円、安く抑えても30~50万円はかかると言われています。一方で自作の場合は、コストが発生するのはサーバー代やCMS使用料だけなので、イニシャルコストはかかっても1~数万円、安ければ数千円で作ることができます。因みにCMSはコンテンツマネジメントシステムのことで、Webサイトを簡単に作成、運用できるシステムの総称です。

 HPを作るとランニングコストも当然かかります。内訳としては、サーバー代、ドメイン代、保守管理費、更新費、SEO費、広告費などがありますが、全てにお金をかける必要はありません。SEO費や広告費は、一旦お金をかけ始めると際限なく金額が膨らんでいくので注意が必要です。自作の場合はサーバー代とドメイン代のみにすれば、数千円/月に抑えることができます。一方で外注した場合は安くても1~2万円/月はかかります。これらは月単価なので年間に直すとコスト差は結構な金額になります。

 次に2つ目です。コンテンツを充実させるためには、高頻度かつスピーディな更新が不可欠ですが、HPの作成を外注した場合、これが難しくなってしまいます。外注の場合は、プロが作るのでデザインや構成などHPとしての出来栄えは良いのですが、機動力の高い更新が難しいため、どうしてもコンテンツの鮮度が落ちてしまいます。HPは見栄えも重要ですが、いつ見ても中身が同じだと、折角訪れたユーザが離れていってしまいます。自営の場合は、PCを持ち歩いていれば、何か思いついた時などいつでもネットを立ち上げて、HPの内容を更新することができます。

 ではここからは、HPを自作自営でやる上でのポイントについて考えてみたいと思います。まずはソフトウェアです。HP作成のためのソフトウェアとしてはWordPressがポピュラーですが、初心者がWordPressでいきなりHPを作ろうとすると、結構きついと思います。WordPressの使い方をマスターするだけで息が切れてしまうので、大抵は肝心のコンテンツを充実化させるところまでいきません。

 前半でも書いたようにHPは鮮度が命ですが、デイリーでの更新はおろか、中途半端な状態で放置されてしまうことにもなりかねません。初心者の方は、初心者向けHP作成ソフトを利用することをお勧めします。ポピュラーなものとしては、とりあえずHP、ページキット、グーペなどがあり、かく言う弊社のHPも「とりあえずHP」で作っています。

 「とりあえずHP」はとにかく操作が簡単なので、PCが苦手な人でも臆することなく始められますし、使い方のマスターで体力を使い切らないので、コンテンツの充実に力を注ぐことができます。また、この手のソフトには珍しくデザインもおしゃれで、200種類以上もあるテンプレートデザインから好きなものを選んで使うことができます。

 次にコンテンツの構成ですが、不動産会社のHPとしてはトップページ、会社案内、お問合せ、物件情報まではどの会社のHPにもありますが、これだけだと
他社との違いが出しにくいので、もう1つか2つ、普通の不動産会社にはないものを付け加えましょう。

 弊社の場合は、追加のコンテンツとして不動産コラムや不動産豆知識、神明町グルメを載せています。千葉市内には相当な数の不動産会社がありますが、
このようなコンテンツを載せて、ほぼ毎日更新しているような会社はあまりないのではないでしょうか。当面のゴールは、HP経由での問合せをもらうこと。これができたら、次はその数を増やすことです。前回のコラムでも書いたように、PVやセッション数がある閾値を超えると問合せが入ってくるようになります。

 PVやセッション数を増やすためには、HP内にあるコンテンツが数多くGoogleで上位表示されるようにしなければなりません。また、HPにやってくる人の属性ですが、不動産会社としては土地やマンションなどを売りたい人にぜひ訪れてもらいたいものですが、これはかなりハードルが高いです。まず地主の場合は高齢の方が多いですが、この方々はそもそもネットの習熟度が高くないので、HPのコンテンツを充実させても呼び込むのが困難です。また、若い方が区分マンションなどを売る場合も一括査定サイトという強敵がいるので、呼び込みは簡単ではありません。

 これに比べると、買いたい人を呼び込む方がまだやりやすいです。但し、コンテンツによってやってくるお客さんの属性も変わってくるので、予めの
ターゲッティングが大事です。例えば、HPに不動産投資家を呼びたいと思ったら、不動産投資に関するノウハウをコンテンツに含める必要がありますし、地元に住む人を呼びたいと思ったら、地元に関する情報を発信するのが早道です。

 このように、お客さんからの反応を見ながらコンテンツのブラッシュアップを継続的に行っていこうとすると、外注ではやはり難しいです。やってやれないことはないですが、自作自営よりも却って手間がかかります。初めは稚拙なものしかできなくても、続けていれば徐々に磨かれていくので、長い目で見ると自作自営でやった方がお得です。

 また、成果が目に見えるまでは、年単位の時間がかかるのが普通です。それまでは暗いトンネルの中をただひたすら歩き続けないといけないですが、それが長続きしない理由の1つにもなっています。不特定多数のお客さんから反応がくるようになるまでは、身近な人に見てもらって率直なアドバイスをもらうなど、モチベーションを維持するための工夫も重要です。

仲介+リフォーム元請けで収入アップ

 他のコラムでも書いたように、町の不動産屋の仕事は大きく、仲介、買取再販、賃貸管理の3つに分けられます。それぞれの事業性を見ると、買取再販と賃貸管理はほぼ対極の関係にあります。前者は高収益、低安定ですが、後者は高安定、低収益です。一方で仲介は、前の2つに比べるとやや中途半端な位置づけです。買取再販と同様、安定性が低いですが、収益性は買取再販ほど高くありません。

 そこで今回は、仲介の仕事でも何らかの工夫により収益性を高めることができないか、その可能性について考えてみたいと思います。さて、不動産の仕事をしていると、次のような残念な物件に出くわすことがよくあります。

 買い顧客のニーズには合っているけれど、価格が格安なので仲介だと
大した収入にならない。かと言って、再販して儲けを出せるような価格での買取も難しい。

 このような仕事ばかりやっていると、労多くして益少なしという状況に陥ってしまいます。そのため不動産業界では、仲介の場合は売主、買主の両方を押えて、
両手仲介の形に仕立てることが、定石としてのソリューションになっています。実際、大手の不動産会社における売買の手数料率を見ると、いずれも4~5%と3%を大きく上回っており、両手取引の割合がかなり高いことが見て取れます。

 両手仲介のパターンは、売主の属性により次の3つに収斂されます。
1つ目は、買取再販業者が販売する物件です。未公開物件として紹介されることが多いですが、殆どが収益物件です。私も毎日チェックしていますが、価格設定は概して渋いです。買うのは主に不動産投資家ですが、こちらも価格にはシビアなので、そう簡単には売れません。

 2つ目は、レインズに登録された売主業者の物件です。こちらも売るのは不動産会社なので、価格は甘くありません。たまに好条件の物件が出ていることも
ありますが、そのような物件は直ぐに消えてしまいます。

 3つ目は、自ら物上げをして売主を探す場合です。売主は一般個人が多いので、売却の理由や交渉の仕方によっては魅力溢れる価格設定が可能です。但し、元付けの
ポジションを取るところに大きな壁があります。目下のところ、不動産は売り手市場になっています。

 長年に亘って交流のあるお客さんから頼まれたとか、賃貸管理を受託している大家さんから頼まれたなど、売主から相当な信頼を置かれていないと元付けになる
ことはできません。その他として、一括査定サイトやDM(ダイレクトメール)の活用がありますが、前者は競争が熾烈化していますし、後者は反響率が低すぎるという問題があります。このように両手仲介と言っても、町の不動産屋の場合はそう簡単にはできない、濡れ手に粟とはいかないことが分かるかと思います。

 なお、物件価格が高ければ片手仲介でも高収入が入ってきます。しかし、例えば千葉の場合ですと、価格が1億円を超えると物件の数がぐっと少なくなります。あったとしても、そのような物件を買える人自体が少ないので、今度は買い手を見つけるところで壁にぶち当たります。都内であれば価格の高い物件やまたそれらを買える人も増えますが、仲介業者の間での競争が過熱しているので、やはり簡単ではありません。

 と言うことで、両手仲介も難しいですし、片手仲介も大型物件になると簡単ではないということが分かります。こうなると八方塞がりな感じがしますが、中古物件
であれば、片手仲介でも、また、大型物件でなくても収入を大幅にアップさせる方法があります。そうです。リフォームを買主から元請けすれば良いのです。その場合、リフォームは大手のリフォーム会社や工務店ではなく、一人親方にお願いします。

 一人親方にお願いすれば、リフォーム会社や工務店にお願いした場合よりもだいぶコストを抑えられるので、粗利をより大きく取ることができます。但し、一人親方の場合は丸投げはできません。お客さんの要望を咀嚼して具体的な作業指示に落とし込む工程は、仲介をやる不動産会社もサポートしないといけないでしょう。懐に入るお金が増える分、手間がかかることは頭に入れておかないといけません。

 次に、物件価格3千万円、リフォーム費500万円の場合について、パターン毎の収入の違いを見てみたいと思います。
まず単純な片手仲介の場合ですが、法定上限の手数料をもらったとすると3%+6万円+消費税で105.6万円になります。

 次に片手仲介にリフォームの元請けを加えた場合ですが、リフォーム費のうち3割を不動産会社の粗利とすると、150万円が加わり合計で255.6万円となります。両手仲介の場合は211.2万円なので、それをも上回る金額になります。なぜこんなことになるかと言うと、仲介の手数料率とリフォームの粗利率のギャップが大きいからです。また、前者は法定上限があるのでそれ以上の利益追求はできませんが、後者は努力次第で大きくすることができます。仮に後者の粗利率が3割だとしても、10倍近いギャップがあります。

 このようにリフォームの元請けを加えるモデルは収入に関しては魅力十分ですが、そのための準備も必要です。
第1に一人親方の確保が必要です。言わずもがなですが、一人親方であれば誰でも良い訳ではなくて、腕が良いこと、信頼できること、価格が安いことの3拍子揃った職人でないと意味がありません。

 第2にリフォームに関する知見も必要です。リフォームの品質に問題があった場合は元請けが責任を負わないといけないので、仕事の丸投げは危険です。こまめな管理が不可欠ですが、そのためにはリフォームのことをある程度は分かっていないとできない筈です。

 第3に建設業許可が必要です。軽微な建設工事については不要とされていますが、それを超える場合は許可なしでやると違法になります。因みに軽微な建設工事
には、延べ面積150㎡未満の木造住宅工事、1,500万円未満の建築一式工事、それ以外の500万円未満の専門工事の3つがあります。

 これだとウチではできないという場合は、請負ではなく斡旋という形でやる手もあります。その場合、1についてはハードルが上がってしまいますが2、3はなくてもできるので、その分お手軽にできます。リスクを負わないのでその分収入が減ってしまいますが、それでも紹介料としてリフォーム費の1割くらいは取れるのではないでしょうか。まずは斡旋から入り、経験を積んでから請負に進むというのでも宜しいかと思います。

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