都心狭小地を活用した時間貸駐輪場の自営

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プロローグ

 相続などで狭小地を取得した経験はありませんか?狭小地の活用方法で、悩まれたことはありませんか?

 特に都心は、どこも土地が狭いので、例えば、狭小地を相続したもののどう活用したら良いか分からないなど、土地の活用方法について悩まれることが多いかと思います。

 日進興業㈱でも、昨年、この問題にぶち当たりましたが、いろいろ考えた末、時間貸駐輪場として活用することに決め、約半年間、その実行を進めてきました。

 そこで、ここでは、自らの頭の整理も兼ねて、なぜ狭小地の検討を行うことになり、なぜ駐輪場を選んだのか。そして、どう駐輪場を整備し、その後、どうなったのかを、事例としてご紹介したいと思います(複数回に分けて掲載します)。同じ悩みを抱えておられる方のご参考になれば、幸いです。

第1章 狭小地活用の検討背景
 ・狭小地の相続
 ・空き家問題への対応

第2章 なぜ駐輪場にしたか

 ①リフォームか、解体か
 ②狭小地をどう活用するか
  ・自動車駐車場(月極)

  ・自動車駐車場(時間貸)
  ・バイク駐輪場(時間貸)
  ・自転車駐輪場(時間貸)

第3章 駐輪場整備までの流れ

 ①建物解体
 ②外構
 ③舗装
 ④駐輪場機器

第4章 駐輪場運営の成果

 ・検討を通じての学び
 ・これまでの実績

第1章 狭小地活用の検討背景

 さて、狭小地活用の舞台となったのは、江東区住吉です。地下鉄住吉駅から歩いて1分もかからない場所で、低層の民家や商店が所狭しと立ち並んでいます。一方で、東側には猿江東公園があり、落ち着いた雰囲気の感じられる町です。

 ここに社長のお姉さんが1人で暮らしていました。家屋は木造2階建てで、1階は事務所、2階は住居として使っていたようです(勾配のきつい階段がとても印象的でした。80歳を超えても、毎日、上り下りしていたとは、全く驚きです、、)。

 しかし、昨年11月にお姉さんが亡くなったため、家屋が空き家となってしまいました。このお姉さんには子供がおらず、旦那さんも既に他界していたため、社長がこの家を相続しましたが、築40年近くで建物の傷みがひどく、そのまま住めるような状態ではありませんでした。

 身内に、これを機に住吉で暮らしてみたいという人はいなかったようですが、一方で、このまま空き家の状態にしておくのは、セキュリティの面から不安が持たれました。

 以上のような背景から、まずは、リフォームを行い、貸家として使うか、建物を解体して全く別の用途に使うかの判断をすることになりました
(通常は、この前に、物件を持ち続けるか売却するかの判断が必要ですが、この時は、社長が直ぐには手放さないとの意向を持っていたので、持ち続ける前提で、活用方法を考えることになりました)。

第2章 なぜ駐輪場にしたか(その1)

 今回は、リフォーム Or 解体をどう判断したかについて、お話ししたいと思います。

 一般に、ものを比べる時は、評価の視点を決めた上で、それぞれについて評価を行い、その結果を総合的に見てどちらが良いかを判断するというのがオーソドックスなやり方だと思います。

 ただ、今回は、解体については、その後の土地の活用方法がたくさん考えられますので、全てをリフォームの場合と横並びで比べるのは現実的ではありません。

 ということで、今回は、リフォームを行い貸家として貸した場合に、高収益のビジネスを作れるかという観点に絞って考えることにしました。

 もし、できそうならばそれをやってみるし、難しそうであれば、家屋を解体して、全く別の用途で収益化する方法を考える、です。

第2章 なぜ駐輪場にしたか(その2)

 さて、リフォームですが、ざっくり、2つのパターンに分けて考えました。

 1つは、傷みや汚れがない状態への回復を目指した、必要最小限のリフォーム(以下、パターンA)、もう1つは、新築に近い状態を目指したフルリフォーム(以下、パターンB)です。

 それぞれの場合について、初期費用、収入、経費を設定し、期待利回りを計算すると、以下のようになります。

○家屋の前提
・構造:木造瓦葺
・築年数:38年
・延床面積:62.80㎡

○リフォーム/貸家の利回り

1)パターンA
①初期費用
 ・残置物撤去:15万円 ※見積値
 ・リフォーム:380万円 ※「リフォーム費」参照
 ・小計:395万円
②収入
 ・月額賃料:7万円
 ・稼働率:75% ※1年のうち3か月は空室と仮定
 ・年間収入:63万円/年
③経費
 ・管理費 3.15万円/年 ※賃料の5%
 ・修繕積立金 6.3万円/年 ※賃料の10%
 ・固都税 3.2万円/年 ※実績値
 ・小計:12.65万円/年
④利回り
 ・12.7%

2)パターンB
①初期費用
 ・残置物撤去:15万円 ※見積値
 ・リフォーム:1,427万円 ※「リフォーム費」参照
 ・小計:1,442万円
②収入
 ・月額賃料:14万円
 ・稼働率:91.7% ※1年のうち1か月は空室と仮定
 ・年間収入:154万円/年
③経費
 ・管理費 7.7万円/年 ※賃料の5%
 ・修繕積立金 15.4万円/年 ※賃料の10%
 ・固都税 3.2万円/年 ※実績値
 ・小計:26.3万円/年
④利回り
 ・8.9%


○リフォーム費

  パターンA パターンB
面積(㎡) 62.8 62.8
坪単価 200,000 750,000
㎡単価 60,606 227,273
費用(円) 3,806,061 14,272,727

 パターンBは、初期費用が1,500万円近くかかって、手元の資金でやるのが難しいのと利回りも約9%と高くないので、即却下となりました。

 一方、パターンAは初期費用が約400万円と手ごろで、利回りも13%近くあるので悪くはなかったのですが、稼働率に不安が残るのと、売却時には結局、解体費がかかってしまうと考えて、見送りとしました。

 稼働率については、パターンBは見た目を綺麗にするだけでなく、造りも今風に変えるので、借り手がつきやすいと思いますが、パターンAはそこまでやらないため、借り手がつくまで結構時間がかかるのではないかという危惧です。

 弊社でも、戸建てではないですが、築古の区分マンションが空室になった後、1年以上も借り手がつかなくて、ずいぶん苦労した経験があります。

 また、築38年なので、この後、仮に10年ほど貸家として使って物件を売却するとした場合、恐らく古家付土地という見方をされるでしょう。評価額は土地価格から家屋の解体費を引いた金額になってしまうことも、頭に入れておかないといけません。

 なお、今回はリフォーム費は、単価×延床面積の式で簡易に見積もりましたが、もし、時間に余裕があるのであれば、業者さんに物件を見てもらって、見積ってもらった方が良いです。実際に見積を出してもらうと、HP等に掲載されている㎡単価よりかなり高いのが普通です。

 以下に、リフォーム業者の紹介サイトのリンクを貼っておきました。ご興味のある方は、ご覧下さい。1つ目は格安リフォームでパターンA向き、2つ目はリノベーションでパターンB向きです。







 ということで、リフォーム/貸家はやめて、家屋を解体することにしました。次回は、解体して更地にした後、僅か40㎡の狭小地をなぜ駐輪場として活用することにしたのかをお話しします。

第2章 なぜ駐輪場にしたか(その3)

 狭小地の活用方法ですが、書籍やブログ等でも言われている通り、たくさんのオプションが考えられますが、今回は、深掘り検討は次の4つに絞って行うことにしました。
 
 ①自動車駐車場(月極)

 ②自動車駐車場(時間貸)
 ③バイク駐輪場(時間貸)
 ④自転車駐輪場(時間貸)

 ご参考まで、候補として挙がったものの落ちてしまったものと、落とした理由をご紹介します。

 ・戸建(貸家) →フルリフォーム(パターンB)より、さらに利回りが下がる
 ・マンション賃貸 →容積率、建蔽率の制限が厳しく、利回りを確保できない
 ・アパート賃貸 →同上
 ・ビル賃貸 →コロナ禍による賃貸需要の低迷が懸念される
 ・コインランドリー →初期投資が嵩む一方で、精度の高い需要予測が難しい
 ・トランクルーム →同上
『トランクルーム(屋内)』『コンテナトランク(屋外)』レンタル収納スペースのスペースプラス
 ・自動販売機置場 →初期投資は殆ど不要だが、収入規模も期待できない
 ・看板用地 →同上

 ちなみに、土地の活用法が決まるまでの過渡期に、収益を得る方法として、「駐車場シェア」を活用するのも1つの手です。たくさんのお客さんが利用してくれるようであれば、そのまま、継続しても良いでしょう。

 「駐車場シェア」は他の活用法と違って、初期投資がかからないのと、ニーズがある地域であれば、登録をしたその日からお金が入ってくるのが魅力です。以下にリンクを貼っておきましたので、ご興味のある方はぜひご覧下さい。

コスト0円で始められるスペースビジネス「特P」

第2章 なぜ駐輪場にしたか(その4)

 今回は、下記4つの深掘り検討の結果について、お話しします。

 A)自転車駐輪場(時間貸)
 B)自動車駐車場(月極)
 C)自動車駐車場(時間貸)
 D)バイク駐輪場(時間貸)

 まず、事業性を評価する視点として、次の5つを設定しました。視点としては、ほぼ網羅できていたかと思います。
 
 ①市場魅力度(需要の大きさ)
 ②競合優位性(強みがあるか、弱みがないか)
 ③投資規模(初期投資)
 ④期待C/F(=期待収入-経費)
 ⑤リスク(KOファクターがないか)

 では、それぞれの用途に対する事業性評価の結果を、以下でご説明します。

A)自転車駐輪場(時間貸)・・○

①市場魅力度 ★★★★☆
②競合優位性 △駅からの距離
③投資規模 270~330万円 ※補助金(補助率1/3)を考慮
④期待C/F 9万円/月 ※38台駐輪を想定
⑤リスク 天候(雨天時は低稼働)
     不正利用(無賃駐車)

 時間貸の自転車駐輪場は、住吉駅付近に3か所あり、いずれも日中はほぼ満車の状態にあるため、需要は底堅いと判断しました。また、ユーザの殆どが住吉駅の利用者だと思いますが、都営、東京メトロ合せて、利用者が10万人/日以上おり、毎年0.5~2%の割合で伸びています。競合と比べた弱みは、駅からの距離と場所の分かりやすさの2つです。競合はいずれも駅からすぐそばで、通り沿いにありますが、対象物件は、駅からやや離れており、通りから少し入った場所にあります。初期投資は、駐輪場機器の整備が必要です。他の用途に比べるとやや高めですが、江東区の場合は補助金を利用できます。売上は、競合の稼働状況から、高稼働が期待できるとして、100円/日×38台×30日/月=11.4万円/月としました。ただ、今思うと、ここが甘かったのかもしれません。あと、経費として、機器の保守費と電気代がかかります。リスクとしては天候が大きいです。雨が降ると、自転車で駅まで来る人は少ないので、一気に売上が減ってしまいます。

B)自動車駐車場(月極)・・△

①市場魅力度 ★★★☆☆
②競合優位性 △駐車しやすさ(スペース制約)
③投資規模 20~30万円
④期待C/F 5.1万円/月 ※駐車は2台(普通1台、軽1台)を想定
⑤リスク 募集期間の長期化(特に軽)

 民家や商店が密集している一方で、月極の自動車駐車場は不足しているようです(ざっと見渡しても、付近には1か所しか、月極駐車場はありませんでした)。競合と比べた弱みは、駐車しやすさです。対象物件は角地ですが、西側の道路が幅員3mしかなく、土地の奥行きも浅いので、軽自動車でも停めるのに結構苦労すると思います。初期投資は、区画線と車止めの設置にお金がかかりますが、せいぜい20~30万円といったところでしょう。売上は、自動車だと2台しか停められず、しかもうち1台は軽自動車に制限されるので、普通車が3万円/月、軽自動車が2.5万円/月として、5.5万円/月としました。あと、経費として、管理費が賃料の5%ほどかかります。リスクは、稼働まで時間がかかる点です。普通車の方は早く埋まるかもしれませんが、軽自動車の方はやや時間がかかると予想されます。

C)自動車駐車場(時間貸)・・△

①市場魅力度 ★★★☆☆
②競合優位性 △駐車しやすさ(スペース制約)
③投資規模 150~250万円
④期待C/F 5万円/月 ※駐車は2台(普通1台、軽1台)を想定
⑤リスク 不正利用(踏み倒し)

 時間貸の自動車駐車場は、周囲に3か所あります。通りの向いにある駐車場はいつもほぼ満車ですが、同じ側の駐車場(2か所)は、結構空いているがことが多く、全空の時もあります。競合と比べた弱みは、月極の自動車駐車場と同様、駐車しやすさです。初期投資は、駐車場機器の整備が必要です。駐輪場に比べると割安ですが、補助金はありません。売上は、競合よりやや安めの400円/時間×2台として、6万円/月(軽自動車は、普通車に比べると需要が小さいので、稼働率は普通車の1/2としました)あと、経費として、機器の保守費と電気代がかかりますが、場内に自販機を設置できれば、電気代は相殺できるかと思います。リスクは、不正利用(踏み倒し)です。自営している別のコインパーキングでも、毎月千円近い踏み倒しがありますが、もっと困るのは踏み倒しにより、モータ等が故障してしまうことです。一度、故障が発生すると、部品交換だけで何万円という損害になってしまいます。

D)バイク駐輪場(時間貸)・・×

①市場魅力度 ★★☆☆☆
②競合優位性 △駅からの距離
③投資規模 150~200万円
④期待C/F 3.5万円/月 ※15台駐車を想定
⑤リスク 天候(雨天時は低稼働)
     不正利用(無賃駐車)

 時間貸のバイク駐輪場は、区営が1か所あります。自転車の駐輪場と同じ敷地内にあって、自転車はいつも満車ですが、バイクは半分も埋まっていない感じです。競合と比べた弱みは、時間貸の駐輪場と同様、駅からの距離と場所の分かりやすさの2つです。初期投資は、駐輪場機器が必要ですが、都の補助金を利用できます(しかも、補助率が1/2でお得です)。売上は、稼働率が50%として、200円/日×15台×30日×50%=4.5万円/月としました。競合の状況を踏まえると、稼働率は、もっと下げて良いかもしれません。リスクは、時間貸の駐輪場と同様、天候です(駐輪場ほど影響を受けないとは思いますが)。

○総合評価

 C)とD)は早々に却下となりましたが、A)自転車駐輪場(時間貸)にするか、B)自動車駐車場(月極)にするかで、かなり悩みました。

 A)は期待C/Fが大きいのが魅力ですが、初期投資も大きいいので、お客さんの入りが芳しくないと回収で苦労します。B)は期待C/Fはそこそこですが、投資がかからないので、その点で気楽にやれるという利点があります。

 いろいろ悩みましたが、駐輪場は駅近で需要が底堅いので、立ち上がりに時間がかかるかもしれないが、いずれはそこそこのビジネスになるだろうという期待と、駐輪場という未知の世界に挑戦してみたいという気持ちが勝り、A)でやることにしました。

 次回からは、時間貸の駐輪場をどう立ち上げていったのかについて、お話ししたいと思います。

第3章 駐輪場整備までの流れ ①建物解体(その1)

 さて、家屋の解体ですが、家の中には生活に使っていたものがそのまま残っていたので、まずはこれらを片付けた上で解体を行う必要がありました。

 当然、自分たちでやることはできないので、外部の業者にお願いすることになりますが、今回は次の3つの切り口(キーワード)で探すことにしました。


 ①遺品整理業者
 ②不用品回収業者
 ③解体業者

 探し方としては、企業のHPを見ながら1社ずつ拾っていくやり方もありますが、紹介サイトに登録して、そこから紹介してもらうのも1つの手です。一般に、紹介サイト経由だとそこに払うマージンの分だけ高くなると思いがちですが、実際に見積をとってみると、必ずしもそうとは限りません。

 以下に、不用品回収業者、解体業者の紹介サイトのリンクを貼っておきましたので、ご関心のある方は、ぜひご覧下さい。

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 見積をとる社数ですが、費用を最優先するのであれば、最低でも5~6社はとった方が良いと思います。また、できれば①~③からバランス良く2~3社ずつとって、しっかりと吟味することをおすすめします。


 なお、やってみて分かったことですが、殆どの業者が横のつながりを持っているので、例えば、不用品回収業者としてHPを出している業者でも、大概は解体の見積まで出してくれます。

 今回は6社に見積ってもらったので、時間と手間が結構かかりましたが、最も高い業者と最も安い業者では100万円以上の開きがあり、それだけやる価値はあったと思っています(最も安かったのは、紹介サイト経由の業者でした)。

 あと、見積書をもらったら、金額だけでなく、明細や条件にもしっかりと目を通しておきましょう。例えば、家屋の解体を行った後に、地中から埋設物が出てきた場合は、追加の料金を請求されるのが普通です。

 今回も、地中からトラック3杯分のがれきが出てきてしまったので(写真参照)、追加で20万円近く支払うことになりました、、

第3章 駐輪場整備までの流れ ①建物解体(その2)

 ちなみに、初めから不用品回収業者や解体業者にお願いすると、残置物の中に換金性のあるものが残っていたとしても、換金されることなく処分されるか、あるいは、換金されたとしても依頼主のもとにお金が戻ってくることは、経験上、まずないです。

 そのような場合は、予め買取業者に見てもらってから、片付けや解体をお願いした方が良いでしょう。以下に、ご参考まで、買取業者のリンクを貼っておきましたので、ご興味のある方はご覧下さい。

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 今回は、換金性の高いものは親族の方が予め持っていたので、買取業者を呼ぶことはなかったのですが、1つだけ困ったことがありました。


 冒頭でもお話ししたように、1階は事務所として使われていたこともあり、金庫が3つもありました。1つは、扉が開いていて、中身も空だったので問題なかったのですが、残り2つは施錠されており、中に現金等が入っている可能性もあるので、何とかして開けないといけませんでした。

 うち1つについては、机の引き出しの中を片付けていると、運良く開け方の書かれたメモ書きが出てきたので、開けることができました。しかし、最後の1つは解錠の手掛かりになるようなものが出てこなかったので、専門業者の手に委ねることにしました。

 今回は、片付けや解体に比べると小額なので、相見積もりはとらず、ネットで初めに見つけた業者にお願いしました。ただ、金庫の場合は、製造したメーカやサイズ、タイプなどを伝えると電話口でもだいたいの金額を答えてくれるようなので、次にまた、同じようなことが起きた場合は、そうしようと思います。

 以下に、ご参考まで、鍵開け業者の紹介サイトのリンクを貼っておきましたので、ご興味のある方はご覧下さい。

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第3章 駐輪場整備までの流れ ②外構

 次は外構です。都心で古い家の場合、建蔽率を無視して境界線ぎりぎりで建てているケースが多く、外構もないので、後で使う人が作らないといけません。

 今回も隣地との境界線を明確にしておくのと、自動車が駐車する時に隣の家にぶつけたり、排ガスで壁を汚してしまわないようにとの考えから外構としてブロックフェンスを設けることにしました。

 実は、解体が終わった起点では、自動車の駐車場にするか、自転車の駐輪場にするかで、はっきり結論が出ておらず、駐車場にした場合のことを考えて、そうすることにしました。

 なお、外構を設ける前に、隣からの越境がないか、自分でも確認することをおすすめします。業者の方も工事の前に確認してくれると思いますが、そこで越境が発覚すると、そこで工事が一旦ストップする等、面倒なことになります。

 今回も、解体が終わった後、現地を見た時に、隣の家のエアコンの室外機がこちらに越境している可能性が疑われたので、ポイントの近くに杭を打って、タコ糸を張りながら確認しました。かなりぎりぎりでしたが、越境していなくて安心しました。

 あと、見積ですが、外構と舗装も、片付けと解体の時と同様、大概の業者は両方を請けてくれるので、一括で見積をとりました。今回は、外構で最安値を提示した業者と、舗装で最高値を提示した業者が違っていたので、個別に発注することにしました。

【ロイヤルガーデン】

第3章 駐輪場整備までの流れ ③舗装

 外構が終わったら、舗装です。今回は、駐車場または駐輪場を想定していたので、アスファルトで舗装しました。

 ちなみに、工事の順番ですが、外構、舗装の両方をやる場合は、通常は外構を先に行います。もし舗装を先にやってしまうと、ブロックを埋め込むために、アスファルトをまた掘り返すことになり、二度手間になります。

 今回のように、外構と舗装で業者を使い分ける場合は、順番を間違えないよう、気を付けましょう。

第3章 駐輪場整備までの流れ ④駐輪場機器

 そして、いよいよ駐輪場機器の設置です。なぜ駐輪場にしたのかは2章でお話しした通りですが、初めての取り組みだったので、手探りでやっていくことになりました。

 片付けや解体、外構、舗装は、質の良し悪しが事業のパフォーマンスに殆ど影響しないので、業者を選ぶ時はほぼ費用オンリーで考えていました。しかし、駐輪場機器の場合は少なからずパフォーマンスに影響を与えるので、当然のことですが、質的な面も踏まえて選ぶことにしました。

 具体的には、以下の点に着眼して、機器や業者を選定しました。

①基本事項
 ・機器代
 ・収容台数
 ・施工期間

 業者選定にあたっては、どんなに面倒でも、最低限、この3つはチェックが必要です。機器代と収容台数は、相関が高いので、セットで見ましょう。できるだけ多く停められるようにしたい旨を伝えても、業者によって収容台数の見立てに結構ばらつきがあります。業者間で価格を比べる時は、収用台数を揃えて比べるようにしましょう。

 施工期間は、通常は1週間もあれば施工できるはずですが、繁忙期で仕事が詰まっていたり、コロナ禍の影響で資材調達に時間がかかったりすると、長くなってしまうようです。早い時点で、よく確認しておきましょう。

②施工に関して
 ・横の間隔
 ・コンクリート土間の必要性
 ・ルーフの設置

 横の間隔は、収用台数の多寡に直結するので、運営する側からするとできるだけ狭くしたいところです。しかし、欲張って狭くしすぎると、自転車が入れ辛くなって、お客さんの足が遠退いてしまうので、注意が必要です。今回は業者の意見を踏まえて、横の間隔を35㎝にしましたが、ユーザビリティを考えるとぎりぎりのラインだと思います。

 コンクリート土間は、精算機の下についてはどの業者からも必要だと言われましたが、ラックの下については必要だという業者となくても問題ないという業者の両方がいました。後者の言い分は、舗装してまだ日が浅いので、コンクリート土間はなくても大丈夫というもので、素人的にも納得できたので、今回はなしにしました。

 ルーフは、雨天時の集客を考えるとあった方が良いと思ったのですが、業者の方から「雨の日はそもそも自転車に乗る人が少ないから、ルーフがあっても集客につながらない」と言われ、やめにしました。ちなみに、ルーフを設置する場合は、建築確認が必要です。

③機器に関して
 ・保証内容
 ・撤去費
 ・精算機のオプション機能
  a) ICカード対応
  b) 紙幣(千円札)対応
  c) クラウド対応 ※取得データも確認

 保証期間は通常、1年間です。また、部品交換が発生した場合は、保証期間内でも別途有料としている業者が多いです。

 撤去費は、業者によりまちまちだと思いますが、今回の場合は20~30万円かかると言われました。なお、精算機については、状態が良ければ中古販売業者等が買い取ってくれる可能性があるので、撤去する前に確認してみましょう。

 精算機のオプション機能は、メーカによって様々ですが、主なものを挙げると上記の3つになると思います。今回はb)とc)は付けましたが、a)はやめました。

 今回の場合、お客さんの殆どが地下鉄利用者なので、ICカードは皆持っていて、ワンタッチで決済できると受けは良いと思います。ただ一方で、ICカード対応を付けると費用が40~50万円増えてしまうのと、財布を持たないで利用するお客さんはまずいないだろうとの読みから、a)はなしにしました。

 b)は、a)をなしにしたのと、今回は場内に自販機を置かないので、釣銭対応であった方が無難だろうとの考えから、つけることにしました。

 c)は簡単に言うと、スマホやPCで稼働や収入、不正利用の状況をデイリーで確認できるサービスです。別で運営しているコインパーキングはこの機能がなくて、結構不便を感じていたので、つけることにしました。ちなみに、この機能がないと、遠隔でのロック解除もできないようで、その意味でも付けておいた方が無難です。

④サービスメニューと料金の関係
 a)コールセンター/緊急対応
 b)定期点検
 c)集金
 d)巡回(不正利用への対応)

 初めての方は、どのサービスをお願いすべきか悩まれるかもしれませんが、自営の場合は、a)b)は業者に委託して、c)d)は自分でやるというのが常習的だと思います。

 a)b)を委託する場合の料金は、収用台数にもよりますが、今回の規模だと、2~3万円/月といったところです。c)d)は誰でもできる作業ですが、特にd)については1日に1~2回、駐輪場に足を運ぶので、結構な金額を請求されます。d)を委託するくらいだったら、駐輪場の運営はやめた方が良いです。

⑤その他
 ・駐車場の利用料金
 ・補助金の利用

 ・自販機の設置

 駐輪場の利用料金は、オープン当日までに決めておきましょう。メーカの人が精算機の初期設定を行う時に必要な情報です。いくらにするかについては、競合の料金を調べて、同じかやや安めにするのが常習的だと思います。

 補助金は、市区町村により、ある所とない所があるので、事前に確認しましょう。今回は運良く、江東区が補助金を出しているので、利用することにしました。

 自販機は、別で運営するコインパーキングでは設置しているのですが、今回はスペースの制約から断念することにしました。

 こうして約5か月をかけて、空き家が時間貸駐輪場として生まれ変わることになりました。次回からは、一連の検討を通じて得た学びやこれまでの実績について、お話していきたいと思います。

第4章 駐輪場運営の成果

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