千葉不動産コンサルの日進興業㈱

不動産こぼれ話(宅建独学必勝法など)

INDEX

・宅建合格の秘訣は、難問を確実に捨てること
・「宅建業法」を制する者が、宅建合格を勝ち取る
・「LEC過去問+TACテキスト復習」の繰り返しが、宅建合格の早道
・不動産は、消費税の課税/非課税に注意
・管理組合の役員就任にメリットはあるか?
・植栽の越境は勝手に切れない。書面で催告を!
・どんな登記でも司法書士に依頼すべきか?
・不動産価格は、いつから下がり始めるか?

宅建合格の秘訣は、難問を確実に捨てること

 今回、次回、次々回と宅建士試験について書きたいと思います。
 
 宅建士試験の出題範囲は、権利関係(14問)、宅建業法(20問)、法令上の制限(8問)、税法その他(8問)の4分野からなりますが、他の資格試験と比べても
範囲が膨大なため、戦略的に取り組まないと、なかなか合格できなかったり、できたとしてもかなりの遠回りをすることになります(因みに戦略的とは、リソース配分を適切に行うという意味で用いています)。

 中には、人一倍勉強に時間をかけているのに合格できないという方もおられるかと思いますが、そんな場合は自分の戦略に誤りがないかを一度見直した方が良いと思います。それにより合格への道が開けること可能性が十分にあります。

 さて、昨今の宅建士試験の動向ですが、令和2年(10月)に合格点が38点にまで跳ね上がってしまったこともあり、令和3年(10月)は一気に難化することとなりました。その結果、合格点は34点にまで下がりました。令和2年(10月)は出題された問題が全体的に易しかったということもありますが、そもそも受験者全体のレベルが上がっているということもあると思います。そんな状況なので、今後も合格点の上昇を抑えるため、殆どの受験生が解けないような難問が一定量出題されるという状況は続くと予想されます。

 では今後宅建士試験に合格するためには、難問も解けるようにならないといけないかと言うと、そんなことはないと思います。宅建士試験に限らず、どの試験でも難問への正解は不要だというのが、私の持論です。殆どの合格者が正解できる問題を落とさなければ、合格を手中に収めることができます。つまり、殆どの合格者が正解できる問題とはどの分野のどんな問題なのかということを事前に把握して、そこを丁寧に準備することが合格の早道になるかと思います。

 令和3年(10月)のような難問が多い年でも、このやり方で40点前後を得点し、余裕を持って合格することができます。今回はここまでにして、次回は分野別の勉強法について書いてみたいと思います。

「宅建業法」を制する者が、宅建合格を勝ち取る

 今回は分野別の勉強法についてです。
 
 まずは権利関係ですが、テキストの厚さを見ても分かる通り、権利関係は4分野の中でも最もボリュームがあります。
しかも、そのような状況なのに、令和3年(10月)のようにテキストに載っていない内容が出題されたりします。

 一方で、権利関係でベースとなる民法は常識や社会通念に立脚しているため、あまり勉強していなかったのに、その場で考えて正解できてしまうということも
珍しくありません。権利関係はハートで解けという方もいます。

 したがって、権利関係は全てに亘って絨毯爆撃を行うのではなく、頻出分野に重点を置き、頻出分野以外についてはほどほどで良いというのが、私の出した結論です。間違っても、完璧を狙ってそこに時間をかけすぎないようにしましょう。頻出分野以外は、時間をかけてもスコアアップにつながらない可能性が高いです。

 では、毎年ほぼ必ず出る分野に注力とはどこかですが、ほぼ間違いない分野として、借地借家法、登記の2つが挙げられます。この2つは昨今はほぼ毎年出題されていますし、いずれも知識の有無がカギになるので、努力が裏切られない分野でもあります。頻出分野をしっかり押えて、あとは基本をベースにハートで解いていけば、令和3年(10月)のように難問が多くても7~8問は正解できるはずです。

 次に法令上の制限ですが、ここ最近は、都市計画法、建築基準法から各2問、国土利用計画法、土地区画整理法、農地法、宅地造成等規制法から各1問が出題されています。法令上の制限は、前半の都市計画法、建築基準法と、後半の4つの法律で勉強の仕方を分けて考えることが肝心です。都市計画法、建築基準法はボリュームが多く、暗記すべき内容も多いことから、難解な問題が出題されやすいです。令和3年(10月)がまさにそうでした。

 一方、後半の4つの法律は内容が限られているため、難問を作りにくく、努力が裏切られない分野です。後半の4つ法律で失点がなければ、都市計画法や建築基準法で難問が出題されても、6問は正解できるでしょう。

 税法その他は、税法および5問免除ですが、税法は難問が出題されやすいので、基本を押えたらそれ以上の深入りは無用です。一方、5問免除については難問が出題される
ことは殆どないので、こちらも基本を押えれば十分です。税法で難問が出ても、6~7問は正解できるかと思います。
 
 最後に宅建業法(通称、業法)ですが、宅建業法は出題数は4分野の中で最も多いですが、ボリュームは最も少なく、他の分野と比べても最も難問を出しにくい分野です。
それだけに宅建業法に関しては、網羅的な絨毯爆撃に近い勉強が必要です。分かりやすく言うと、テキストに書かれた内容は全て覚えるくらいでちょうど良いです。基本は満点を狙うべきで、失点が許されるのは2点までと考えておきましょう。

「LEC過去問+TACテキスト復習」の繰り返しが、宅建合格の早道

 今回は、前回、前々回を踏まえた、具体的な勉強の仕方(オペレーション)についてご紹介します。

 ベタですが、過去問を繰り返し解いて、間違った箇所をテキストで復習、地味ですがこれが一番合格への早道だと思います。
過去問は様々な予備校が出していますが、私としてはLECがおすすめです。LECの過去問は、設問毎に合格者と不合格者の正答率が記載されています。

 前々回にお伝えした、合格者皆が正解する問題で確実にスコアを積み上げていくやり方では、問題を読んでその難問か正解しないといけない問題かを瞬時に判断する目利きが重要になります。LECの過去問を繰り返し解いていけば、合格者の正答率が出ているので、この目を自然に養うことができます。

 あとテキストですが、テキストはTACがおすすめです。TACのテキストでは、過去に出題された内容にはアンダーラインが引かれており、出題された年も書かれています。なので、出題年が幾つも書かれている箇所は、よく出題されていて重要なんだなということが一目で分かります。

 LEC過去問+TACテキストで勉強をしていけば、殆どの合格者が正解する問題については、確実にカバーすることができます。


 次に長期で見た勉強の進め方ですが、理想的には前年の合格発表の後、つまり年明けくらいから勉強をスタートするのがベストです。
巷には、2週間で合格した方の武勇伝や1カ月でも合格できる勉強法など、食い付きの良い動画が出回っていますが、期間が短いとその分心身への負荷も重くなるので、あまりおすすめできません。

 年明けから始めて3月までは、権利関係だけで十分です。なぜ権利関係からやるかと言うと、ボリュームが多いこともありますが、他の3分野に比べて、理解を深める
のに時間がかかるからです。とはいえ、毎日やるのであれば1日30分の勉強で十分です。4月になったら、宅建業法、法令上の制限、税法その他に着手しましょう。8月のお盆まではこの3分野に的を絞って、過去問+テキスト復習を繰り返していきます。これらも権利関係と同様、1日30分もやれば十分です。

 ここまでやると、初学者の場合でも30~35点まで得点できるようになると思いますが、ここで油断してはいけません。ここで手を緩めてしまうと、運が良ければ合格できますが、運が悪いとあと1~2点足りなくて不合格となり、辛い正月を過ごすことになります。

 盆明けからの約2か月は、宅建業法や法令上の制限(の後半4分野)、そして5問免除、権利関係の頻出分野を完璧にすることに全精力を注ぎます。あと試験まであと1か月になったら、法改正の箇所もざっと確認しましょう。法改正された箇所のうち、まだ出題されていない内容が狙われやすいです。令和3年(10月)にハザードマップの問題が出ましたが、予想が的中しました。

 最後に、当日のこととして、解答の順序の問題があります。どんなに準備が万端でも、当日に解答の順序を誤ると失点を増やして、場合によってはそのせいで不合格になってしまいます。解答の順序は、権利関係から解かないというのが鉄則です。権利関係はひねった問題や予想外の問題がよく出題されるので、試験の前半でそのトラップにはまってしまうと、その後も精神的な安定を欠いてケアレスミスを連発したり、時間が足りなくなってしまう可能性が高いです。最初が宅建業法で最後が権利関係というところはほぼマストですが、あとはお好みでよろしいかと思います。私のおすすめは、宅建業法→5問免除→法令上の制限/税法→権利関係です。宅建業法で好調なスタートを切れれば、最後の権利関係までリラックスした脳で解くことができると思います。

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不動産は、消費税の課税/非課税に注意

 消費税は、2019年10月からの税率引き上げと同時に軽減税率制度が導入されました。店内飲食(イートイン)のものは10%、持ち帰り(テイクアウト)のものは8%となったので、両方を提供する場合は税率を分けて提供する必要があります。飲食店を経営されている方などは、さぞや大変なことと思います。

 さて、不動産の場合は、そのような税率の区別はないので良かったのですが、そもそも、ケースごとに課税、非課税が入り混じっているので、これはどちらだったか、、と分からなくなることがよくあります。そこで、今回は自らの頭の整理も兼ねて、ケースごとの消費税の課税の有無を確認してみたいと思います。

 まずは売買の場合ですが、土地はどんな場合も非課税です。一方建物は、売主が消費税の課税事業者の場合は課税、そうでない場合は非課税となります。よって、例えば個人が住宅の売主となる場合は消費税は課税されません。

 因みに、仲介手数料も考え方は建物の場合と同じで、仲介業者が課税事業者の場合は課税、そうでない場合は非課税となります。例えば、物件価格が3千万円の場合、仲介手数料の法定上限は、消費税が課税の場合は3.3%+6.6万円で105.6万円、一方、非課税の場合は3%+6万円で96万円なので、消費税が課税された場合とそうでない場合で約10万円も違ってきます。

 お願いする側としては、仲介業者が課税事業者でない方が安上がりで助かりますが、ただ、うちは課税事業者ではありませんと謳っている不動産屋を少なくとも
私は見たことがありません。

 次に賃貸の場合ですが、居住用か事業用かで異なってきます。前者の場合は非課税、後者の場合は課税です。但し、前者の居住用であっても、契約期間が1か月に
満たない場合は課税となります。因みに、もともとは居住用も消費税が課税されていましたが、1991年10月より住宅用として借りる場合に限り、非課税になったという経緯があります。
 
 あと、上記は賃料も礼金も同じです。たまに、居住用物件のチラシなどで礼金(税込)と記載されているのを見かけますが、居住用の場合、礼金はそもそも
課税されませんので、税込と記載するのは適切とは言えません。

 次に敷金ですが、こちらは預り金ですので、居住用、事業用に関係なく非課税です。保証会社の利用料や火災保険料も非課税です。その他、賃貸でかかる費用として、管理費、共益費や更新料、更新手数料がありますが、これらも考え方は賃料と同じです。居住用の場合は非課税、事業用の場合は課税となります。

 いかがでしょうか。不動産で食べている我々でもたまに間違えそうになる時がありますので、一般の方の場合であれば尚更のことと思います。ただ、幸いなことに現在はスマホでネット検索すれば、これらのことは直ぐに確認できますので、ケース毎の課税、非課税の区分までは覚える必要はありません。
  とりあえず、「不動産は、消費税の課税/非課税に注意」ということだけ頭の中に叩き込んでおきましょう。

管理組合の役員就任にメリットはあるか?

 分譲マンションに固有なものの1つとして、管理組合が挙げられるかと思います。管理組合は、戸建や(1棟オーナーがいる)賃貸マンションに住んでいたら縁がないものです。私も実家は戸建で、実家を出てからも学生、社会人とずっと会社の寮や賃貸マンションに住んでいたので、つい5~6年前に分譲マンションを買うまでは、管理組合には全く縁がありませんでした。

 因みに、法律では管理組合という言葉は使われていません。区分所有法では、「管理を行うための団体」としか言っておらず、設立に関しても「できる」
となっており、「しなければならない」とはなっていません。ただ、実態を見ると、戸数1~20戸の小さな分譲マンションでは管理組合が存在しない物件もあるようですが、それ以上の規模では大抵設立されているようです。

 さて、分譲マンションはこの管理組合があるお蔭で、建物の共用部分や敷地の維持管理ができているわけですが、1つ厄介なことがあります。そうです。区分所有者に対して、理事などの役員への就任依頼が、持ち回りでやってくることです。

 役員になると、大抵の分譲マンションの場合、ほぼ毎月開催される理事会に
出席しなければなりません。総会の場合は、事前のアンケート用紙に「理事長に一任」に〇をすれば、出席を免れることができますが、役員になってしまうと、この理事会への出席を避けて通ることができません。

 かくいう私の場合は、自宅と会社の事務所の両方が分譲マンションに入居しているので、通常よりも大変です。自宅の方は住んで5~6年なので今のところ役員のお鉢は回ってきていないですが、事務所の方は古くから所有していること加えて、2階(6部屋)を全室会社で所有しており、議決権の数も多いことから、ほぼ毎年役員をやって下さいと言われる始末です。

 なお、事務所が入っている分譲マンションは、やや面白い仕組みになっていて、役員のお鉢が回ってきた時に、協力金という形で毎月幾らかのお金を払うと役員を回避することができます。反対に受任した場合は、年額××円という形で報酬が出ます。弊社も事務所が西千葉にあった時は、協力金を払うをことでずっと役員を回避していましたが、神明町に移ったのを機に協力金を垂れ流すのも如何なものかということで、役員を受任することになりました。

 弊社のあるマンションは役員になれば金銭的なメリットがありますが、そのような仕組みがない場合にも、管理組合の役員をやることで何か得られるメリットは
あるのでしょうか。

 この問いに対する答えは、ネットで検索すると色々出てきますが、だいたい、1)マンション内での人脈形成、2)維持管理やそれにかかるお金の流れに詳しくなる、の
2つに収斂されます。が、メリットと言うにはややパンチに欠けます。

 私が役員をやってみてこれは確かにメリットだと思ったのは、上記の2つとはちょっと違うのですが、問題を提起してそれが通れば、つまり承認されれば、
予算を使って改善することができることです。

 弊社が入居するマンションには、2階までを直接つなぐ外階段がありましたが、雨や雪が降ると非常に滑りやすくなり、安全上問題がありました。会社でも天気が悪いとこのことがよく話題になり、私自身も何とかならないものかと常々思っていたので、ある役員会の時に共用部分の問題として取り上げて、修繕にまで漕ぎつけることができました。

 マンションに住んでいると、共用部分などについて、何とかならないかと思うことが2つや3つあるものです。緊急性が高いとか、どうしても耐えられないような
問題であれば、管理会社や理事長に掛け合う労力を厭わないかと思いますが、そうでなければ、面倒でそこまではやらないので、結局、不満が消えないということになりがちです。しかし、管理組合の役員という立場であれば、問題提起のための機会がほぼ毎月与えられると前向きに捉えることもできます。

植栽の越境は勝手に切れない。書面で催告を!

 庭付き一軒家が建ち並ぶエリアに住んでいると、庭の木の枝などが塀を越えて隣の敷地内にまで入ってしまうことがよくあります。もし、皆さんのうちの庭に隣の木の枝が伸びてきたらどうしますか。

 自宅であれば通常は相手がどんな人かも分かっているので、朝晩や休日に顔を合せた時などに口頭でその旨を伝えて、木の枝を切ってもらうようにお願いできるかと思います。ですが、これが駐車場のように自宅から離れた場所にあると、そうもいきません。電話でお願いできれば良いですが、隣が個人の住宅だったりすると、大抵はそれもできません。また、相手は普段から付き合いがあるわけでもなく、どんな人なのか分からないので、いきなり自宅を訪ねてお願いするとなると、躊躇してしまうこともあろうかと思います。
 
 だからと言ってそのままにしておくと、例えば駐車場の場合であれば、利用者から何とかならないかと苦情がくるかもしれません。
弊社の場合も、管理を受託する月極駐車場で植栽の越境がありましたが、枝と言うより木の一部がごっそり覆いかぶさるような形で越境していたので、契約した新規のお客さんからこれでは車を停められないと苦情が入り、大変な目に遭いました。駐車場の場合は1日単位で損害が発生するので、たかが越境くらいで、とも言ってられません。

 このような場合は、多少手がかかって面倒でも、きちんと書面で催告することをお勧めします。書面と言っても構える必要はありません。構成要素として、自分の住所/氏名、相手の住所/氏名、日付があった上で、現地の住所、越境の状況や損害の内容、枝を切って欲しい旨とその期日が入っていれば、あとは書式などは全く自由です。PCやプリンターがないという場合は、手書きでも全く問題ありません。

 相手に関して、住所は分かるが持ち主が誰なのか分からないという場合は、600円ほどお金がかかってしまいますが、住所を元に地番を調べて、法務局で登記簿謄本を取得すれば、誰が持ち主かを把握することができます。また、この手の書面の常套句になりますが、最後に「期日までに対応してもらえない場合は、法的な措置をとらせていただきます」という文言を入れておけば、大抵の人は対応してくれる筈です。

 もし対応してくれなかった場合ですが、植栽の越境による損害が大きいのであれば、今度は内容証明郵便で請求書を送った上で、法的な措置をとれば良いのです。

 但し、間違ってもこのような手続きを踏むのは面倒だからといって、伸びてきた枝を勝手に切るようなことはやってはいけません。越境してきた植栽に関しては、民法233条にも記載されている通り、根っこは勝手に切れますが、枝は勝手に切れません。因みに、この「根っこは自分で切れるが、枝は勝手に切れない」というルールは、宅建士試験でも相隣関係の中の1つとしてよく出題されるテーマです。

 ただ、2023年4月からの法改正により、このルールもやや緩和されるようです。ごく簡単に言うと、まず植栽が共有の場合は単独でも可、つまり勝手に切ることができるようになります。共有でない場合も、次のいずれかに該当する場合は、越境された側での切除が可能となります。1つ目は植栽の所有者に枝を切除するように催告したにもかかわらず、その所有者が相当の期間内に切除しない時、2つ目は植栽の所有者を知ることができない、または、その所在を知ることができない時、3つ目は急迫の事情がある時、です。

 とはいえ、2つ目、3つ目は実際にはなかなかないので、書面での催告の仕方そのものは知っていて損はないかと思います。

どんな登記でも司法書士に依頼すべきか?

 不動産を売買する時、登記に関しては当たり前のように司法書士に依頼しているかと思います。ですが、売買の当事者であれば、司法書士でなくても登記を自分で行うことができます。無報酬であれば、親族や友人のために代理人として登記を行うことも可能です。但し、無資格なのに他の人のために登記を行うと、司法書士法違反の容疑で逮捕されます。登記には、売買の時にする所有権移転登記の他にも様々な登記がありますが、それらについてもルールはもちろん同じです。

 さて、以上のことはあくまで法律上の話でしたが、この手の話はネットで検索すれば山ほど出てきますので、他のサイトに譲ることにします。ここでは一般個人の方が、自分でもできそう、或いは自分でやった方がコスパが高い登記とは、どんな登記なのかという視点で見ていきたいと思います。

 先ほども書いた通り、登記には様々なものがありますが、まずはそれらを洗い出してみたいと思います。
登記は、大きく不動産登記と商業登記の2つからなります。このコラムは不動産をテーマにしているので、前者について深掘っていきます。不動産登記は、表示に関する登記と権利に関する登記に分けられます。前者は土地や建物の物理的状況を登記簿上の表題部に公示すること、後者はその土地や建物の所有者が誰なのかを公に示すことを目的としています。

 表示に関する登記はさらに土地、建物、区分建物の3つに分けられますが、具体的には以下のようなものがあります。


土地:表題登記、分筆登記、合筆登記、地目変更登記、地積更正登記

建物:表題登記、表題変更登記、滅失登記
区分建物:表題登記、表示変更登記、滅失登記、区分登記、共用部分たる旨の登記

 同様に、権利に関する登記には以下のようなものがあります。

不動産の権利に関する登記、所有権保存登記、抵当権設定/根抵当権設定、所有権移転登記、抵当権抹消/根抵当権抹消、所有権名義人住所変更


 では、いよいよ一般個人の方が自分でもできる登記について、見ていきたいと思います。
表示に関する登記については、自分でもできそうなものと言うと、土地、建物に関するもののうちの幾つかになるかと思います。例えば、地目変更登記や滅失登記は比較的簡単なので自分でもできるかと思います。かく言う私も、これらはいつも自分でやっています。因みに、滅失登記は聞き慣れないかもしれませんが、建物がなくなったことを記録する登記のことで、建物を解体した時は1か月以内の申請が義務付けられています。

 一方で分筆や合筆、地積更正登記などは測量とセットで行うので、通常は土地家屋調査士に依頼するのが普通です。
また、区分建物については、例えば分譲マンションの場合は分譲した不動産業者が行うので、一般個人には登記の機会そのものがあまりないと思います。

 次に権利に関する登記です。こちらはお手軽なものは少ないのですが、例えば、所有権名義人住所変更は一般個人の方でも簡単にできます。
所有権名義人住所変更は、引っ越しをしたら住所が変更された旨を記録するものですが、令和3年の法改正により申請が義務化されたので、多くの人が対象になってくると思います。あとは所有権移転登記の中でも相続に起因する場合は、自分でやっても良いのではないでしょうか。登録免許税の計算が含まれますが、不動産を単独で引き継ぐ場合は、さほど面倒ではありません。

 こうして見ていくと、単独申請が可能なものについては、相手を気にする必要もないので、自分でも手軽にできると言って良いかと思います。売買に起因する所有権移転登記のように見ず知らずの他人と共同申請するようなものは、何かと神経も使うので司法書士に任せた方が良いでしょう。また視点を変えると、滅失登記や所有権名義人住所変更のように法的に義務化されているものは、登記の機会も多いので、自分でやれるようにしておいて損はないように思います。

 最後に、登記を自分でやった場合に、どのくらいコストが浮くかについて見てみたいと思います。司法書士への報酬は、あくまで相場になりますが、所有権名義人住所変更は1~2万円、滅失登記は3~5万円、地目変更登記は5万円前後、相続による所有権移転登記はやや高めで6~7万円となっています。

 不動産の価格と比べると安く見えるかもしれませんが、自分の給料と比べたらいかがでしょうか。例えば、平均的なサラリーマンの月給が30万円とすると、5万円が浮いたらその月は35万円もらえたのと同じになりますから、結構なインパクトになるのではないでしょうか。登記も自分でやる場合は、法務局の出している分かり辛いマニュアルを読み込んだり、必要となる様々な書面を取得したりと結構大変なので、無理をしてでもやるような代物ではないですが、時間と気持ちに余裕がある時はやってみてはいかがでしょうか。

不動産価格は、いつから下がり始めるか?

 不動産市場では、区分マンションを中心に価格が上がり続けています。国交省が2021年10月に発表した不動産価格指数の推移を見ると、区分マンションの平均価格は2010年から約11年で1.7倍も上がっています。

 このような状況から、不動産市場はもはやバブル期を迎えているという人もいます。気の早い人は、不動産価格の上昇が始まった頃からそのようなことを言っていました。つい先日も片づけをしていたら、8年前に参加した不動産セミナーで配布された資料が出てきたのですが、そこにも不動産市場は既にバブルの状況にあるとの記載がありました。

 しかし、エコノミストなどが書いた記事を見ると、目下のところは不動産バブルとまでは言えないようです。そもそも不動産バブルとは、期待が著しく強気化して、不動産価格が適正な水準を大幅に上回って上昇することを言います。これだけでは人によって判断にばらつきが出てしまいますが、客観的な判断のポイントとしては次のようなものがあります。

 地価や取引価格が局地的に上がっているか、収益価格とのギャップが大幅に拡大しているか、イールドギャップが大幅に縮小しているか、などです。
例えば、3つ目について言うと、不動産価格が最も高いと言われる東京の城南地区でも1Rマンションの期待利回りは約4%です。国債の利回りは約0.2%なので、イールドギャップはまだ4%近くを保っています。これが0%に近くなると不動産バブルと判断されますが、今のところはまだ大丈夫なようです。

 さて、不動産市場はまだバブル期にないことは分かりましたが、一方で下げに転じるのはいつなのかが非常に気になるところです。
ある人がYouTubeの動画で、2023~24年には不動産価格が底を打つと言っていましたが、現状を鑑みるとまだその兆しは全く見えません。このように不動産市場は先行き不透明な状況にありますが、それでも、いつかは下がる時がやってきます。

 そこでここでは、いつから不動産価格の下落が始まるのかを次の4つの観点から考えてみたいと思います。いずれも不動産価格への影響が大きいと思われる因子について取り上げています。

 第1に景気の影響です。景気はある一定の周期で好況と不況を繰り返しています。代表的なものの1つに7年サイクル説があります。
これまでにあった歴史的なイベントを振り返ると、プラザ合意(1985年)、バブル経済崩壊(1991~93年)、ITバブル崩壊(2001年)、リーマンショック(2008年)、アベノミクス(2012~13年)、東京五輪(2020年)、リニア新幹線開業(2027年)となっており、確かに7年前後の周期で起きている、或いは起きる見通しであることが分かります。

 不動産価格もこれらのイベントの影響を少なからず受けています。前半で書いた「2023年には不動産価格が底を打つ」という説も、7年サイクル説から出ているように思われます。但し、ラスト2つのイベントについては、コロナ禍等の影響によりやや後ろにずれ込んでいる、或いはずれ込む見通しとなっています。これを受けて、不動産価格も下落の始まりがやや遅れているのかもしれません。

 第2に株価の影響です。株価と不動産価格の間には、高い相関があります。株価が上がると投資余力が拡大し、不動産購入に至る人が増加、これに伴って不動産価格が上がるという関係です。実際に、日経平均株価と不動産価格指数の相関を取ると0.9をゆうに超えています。また、戸建と区分マンションでは後者の方がより高い相関があると言われています。

 なお、不動産市場は株式市場よりも流動性が低いため、不動産価格も株価より遅れて連動していきます。不動産の売買では売却を決めてから買い手に渡るまで、早くても3か月、通常ですと6か月ほどかかります。日経平均株価は2021年9月に3万円を超えたのをピークに、今年に入ってからはやや下落傾向にありますが、もし今後もこの傾向が続くようであれば、不動産価格が下落に転じる日も遠くないと思います。

 第3に金利の影響です。低金利の時は融資を受けやすいため、売買が活発化し、不動産価格が上昇します。そのため、金利が上がると不動産価格は下落すると言われています。日銀の黒田総裁は2022年9月の会見で「当面は金利を引き上げない」と言っていましたが、海外での相次ぐ金融引き締めや黒田総裁の任期が2023年4月で終わることを踏まえると、今後、日銀が利上げに踏み切る可能性がゼロとは言えません。そうなった場合は、不動産価格にも大きな影響を与えることは間違いありません。

 第4に賃貸需要の影響です。賃貸需要と不動産価格の間にも高い相関があります。賃貸需要が拡大すると賃料相場が上がるため、不動産価格も上がります。逆に、
賃貸需要が縮小すれば、不動産価格も下がります。賃貸需要の動向は、広告料が1つの先行指標になります。賃貸需要が落ち込むと貸主の払う広告料が高くなるため、そこから察することができます。昨今では、都内を中心に広告料の相場が上がってきているとの話もあるため、近いうちに不動産価格の上昇に歯止めがかかるかもしれません。

 さて、このように1つ1つ見ていくと、いずれも根拠がしっかりとあるのでそれなりに説得力があります。不動産価格は足元では高止まりの状況にありますが、株価や金利、広告料の動向を踏まえると、そろそろ下落に転じてもおかしくない状況です。まだはっきりとした兆しを掴むには至っていませんが、そうなった暁には直ぐに行動を起こせるよう、心の準備だけは始めておきましょう。

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