一都三県の不動産競売で落札するための狙い目

ホーム  »  【一話完結】不動産お役立ちコラム  »  一都三県の不動産競売で落札するための狙い目

INDEX

・市場価格でも落札できない競売物件があるのはなぜか?
・競売で、転売業者やハウスビルダーとの価格競争を避けるには?
・競売は、居住目的の個人入札者が最強
・入札前にBITをチェックすべき理由
・個人投資家が競売で狙うべき物件とは?

市場価格でも落札できない競売物件があるのはなぜか?

 他のコラムでもご紹介の通り、少なくとも1都3県では、ここ最近、競売への参加者が増えており、落札価格も上がっている印象を受けます。

 3点セットの資料も、かつては裁判所にまで足を運ばないと見ることができませんでしたが、今は981やBITがあるので、自宅や会社にいてもただで簡単に資料を見ることができます。また、Googleマップなどの発達により、現地に足を運ばずとも、現地の状況を掴めるようになりました。こうして、昔はプロ以外は時間に余裕がないと競売に参加することができませんでしたが、今は忙しいサラリーマンでも競売をやれるようになりました。

 また昨今は、書籍や不動産セミナーでも競売をテーマとしたものが増えてきており、個人の方にも競売がだいぶ身近なものになってきました。以上のような背景から、競売に参加する人が増えるようになり、競争の熾烈化が落札価格の上昇を招いているように思います。

 さて、競売での落札価格は、過去3年分まではBITと呼ばれる不動産競売物件情報サイトで見ることができますが、見ていくと中には、市場価格と同等どころか、それを上回る価格で落札されている物件も散見されます。競売と言えば、市場価格の7割、8割で落札できるのが大きなメリットだった筈ですが、誰がそんな価格で落札しているのでしょうか。

 初めは競売に不慣れな個人の方が高値で落札しているのだと思っていましたが、落札者の属性を見るとそうでもないようです。BITでは落札者の属性が個人か法人かを公開していますが、高値で落札されている物件を見ると、もちろん個人の場合もないことではないのですが、圧倒的に法人が多いのです。

 その謎は、ある時に同業他社の方と話をする中で解けたのですが、主にハウスビルダーが高値で落札しているようです。開札の日に裁判所に行くと、落札者の名前(法人の場合は企業名)も発表されるので、メモしておいて、後で落札者がどんな企業なのかをネット等で調べると、よく分かるかと思います

 ハウスビルダーは、昨今のような仕入が難しい環境下では、基本的に建物を建てるところで利益を確保できれば良いと考えているので、土地は市場価格と同じか、場合によっては高値でも構わないのです。利幅は小さくなってしまいますが、その分、買って、壊して、建てて、売ってのサイクルを高速回転させれば、トータルでは必要な利益を確保できます。

 彼らとしては、下手に価格を下げて落札できないよりも、多少高値掴みして利幅が小さくなっても次々と物件を落札できた方が、最終的な儲けが大きくなるのです。


 2000年代からの低金利に加えて、ここ1~2年はコロナ禍を背景に事業再構築補助金など、中小のハウスビルダーにとって追い風が吹いています。
金利が上がり、融資のハードルが上がると、彼らの動きに歯止めがかかってくるかもしれませんが、暫くは彼らに有利な状況は変わらないかと思います。

 他のコラムでも書いている通り、町の不動産屋としては、彼らが敬遠しがちな物件にターゲットをおき、できるだけ価格競争に巻きまれないような形で、
戦っていくのが賢明な道かもしれません。

競売で、転売業者やハウスビルダーとの価格競争を避けるには?

 不動産競売物件情報サイト(通称BIT)では、事件毎の落札結果を見ることができますが、落札者の属性を見ると殆どの物件は法人が落札しています。これらの法人の具体的な顔触れは、裁判所での開札に立ち会うと分かりますが、転売業者やハウスビルダーと言われる人たちが数多く落札しています。転売業者とは、不動産の買取再販を中心に手掛けている不動産会社のことを言います。また、ハウスビルダーは広義には家を建てる業者のことを言いますが、大抵はその中でも地域密着でやっている比較的小規模な業者を指すことが多いです。なお、転売業者が買取再販を行う中で、家を建てることもあります。

 個人の不動産投資家として入札に参加する時は、できればこのような業者との価格競争には巻き込まれたくないものです。そのためには、まずは彼らの
狙っているターゲットがどんな物件なのかを把握しないといけません。基本的に彼らはターゲットから外れる物件は積極的に狙わないので、それ以外の領域を狙っていけば、少なくとも彼らとの価格競争は回避することができます。

 では、それぞれが狙う物件を見ていきましょう。まず転売業者ですが、例えば中古の戸建を落札した場合は、築年数が浅い場合はリフォームして中古戸建として再販、リフォームによる再生が困難な場合は解体して更地として売るか、家を建てて新築戸建として売ります。

 次にハウスビルダーですが、彼らは建売が基本なので、築浅の物件にはあまり手を出さないかと思います。築古の物件を落札して解体後に家を建てて売るか、土地を狙うかでしょう。ハウスビルダーならではの強みは、建物を建てる工程で利益を出せることです。彼らは建物で利益を確保できるので、土地は多少高値で買っても全体で見ると赤字にはならないのです。

 このように同じ法人でもハウスビルダーと転売業者では狙いにやや違いがありますが、1つ共通していることがあります。それは、足の長い物件は
敬遠しがちだということです。彼らは、買って、直して/建てて、売ってというサイクルをできるだけ高速で回転させることによって、トータルの目標利益を確保しているので、リフォームや解体、建築など、買ってから売るまでの時間がかかるような物件は嫌がります。

 ですから、個人の不動産投資家にとっては、彼らの嫌う足の長い物件こそが狙い目となるのです。では次に、足の長い物件とは具体的にどんな物件かについて、
考えてみたいと思います。

 まず思い付くのは、居住者がいる物件です。居住者がいる状況ではリフォームも解体もできませんので、退去してもらわないといけませんが、立退きには時間がかかります。入居者が直ぐに退去に応じてくれれば、引っ越しにかかる時間だけ待てば良いのですが、立退料などで相手がごねたりすると結構時間がかかってしまいます。

 そこが狙い目になるのです。但し、居住中の物件でも彼らが札を入れる場合があります。例えば、所有者が物件に住んでいる場合は、リースバック物件として再販する可能性があります。リースバック物件では、旧所有者である債務者が賃借人としてそのまま住み続けるので、リフォームや入居者の募集の手間がありません。あとは、賃借人が物件に住んでいる場合ですが、この場合はそのままオーナーチェンジ物件として再販する可能性が高いです。

 居住者のいる物件以外で足の長い物件というと、法令上の制限に抵触している物件や隣地との問題がある物件が挙げられます。前者で言うと、例えば、建築基準法に抵触している物件は、新たに家などを建てる時に、役所の許可を得たり、そのための工事を行うのに時間がかかるので、敬遠されるでしょう。また後者としては、境界が不明瞭であったり、建物や植栽が越境していたりということが考えられます。いずれも売却の前には解消しておく必要がありますので、そのための手間暇がかかってしまいます。

 以上で挙げたような物件は転売業者やハウスビルダーが敬遠するので、その分、落札できる確率が高まります。
勿論、それでも不動産投資家同士の戦いは残りますが、より地方へ、より駅から離れた場所へと土俵を移していけば、落札の確率をさらに引き上げることが可能です。まずはどうしても競売で1件目を落札したいという方は、このようなアプローチをとられることをお勧めします。

競売は、居住目的の個人入札者が最強

 他のコラムで、ハウスビルダーが市場価格、或いはそれ以上の価格で札を入れて、多くの物件を落札しているという記事を書きました。しかし、入札者の目的が何であるかという視点で考えると、実はもっと高値で入札してもおかしくない人がいます。今回は、それが具体的にどんな属性の人なのかについて、考えてみたいと思います。 

 競売の参加者の属性ですが、大きくは個人、法人に分けられます。法人は主に不動産会社とハウスビルダーがいます。前者は、殆どが買取再販を目的としていますが、中には賃貸による収益化を目的とする業者もいると思います。それに対して、後者はほぼ全員が建売目的です。

 個人の場合も、収益化を目的とする人、つまり不動産投資家と居住を目的とする人がいると思います.なお、個人の場合は宅建業法により業としての売買が制限されていることや、譲渡益課税の税率が短期(5年以内)の場合は約4割と高いことから、買取再販を目的とした人は殆どいないと思います。

 では、それぞれのケースについて、入札価格をどのように決めているかを見ていきたいと思います。まずは買取再販の場合ですが、この場合は出口として売却する時の価格を見積もった上で、そこに至るまでの経費および業者の取り分となる利益を控除して、入札価格を算定します。

 売却価格は、一般個人向けに売る場合は市場価格となります。ただこの場合、売れるまでの期間が読めないので、早く確実に売りたい場合は、市場価格よりも若干安い価格でハウスビルダー等に売ることもあります。経費としては、取得時は不動産取得税や登録免許税といった税金の他、更地にする場合は残置物の撤去費や解体費、再生する場合はリフォーム費がかかります。また、区分マンションの場合はこれに管理費や修繕積立金の滞納分が加わります。一方で売却時の経費としては、客付業者に支払う仲介手数料があります。

 買取再販を行う時の業者の取り分ですが、統計データなどは存在しないので正確な値は分かりませんが、色々な方の話を踏まえるとだいたい1~2割ではないでしょうか。
ただ昨今は出物が少なく競争も激しいので、中には利益率を5~6%に抑えて、あとは高速回転によりトータルの利益を確保している方もおられるようです。

 次にハウスビルダーの場合ですが、彼らの大きな強みは建築の工程で利益を出せることです。そのため、競売の物件については市場価格より若干安めか、
物件によっては同等価格で札を入れることも珍しくないようです。このようにハウスビルダーの場合は、物件を取得して更地にした時には赤字であっても、家を建てて売る時には黒字にすることができます。

 次は不動産投資家の場合ですが、この場合は賃貸に出す時の賃料や経費を見積もり、これを目標とする利回りで除すことで入札価格を算定します。折角なので、ここで不動産投資家が強みを発揮できる物件について考えてみたいと思います。賃貸物件の賃料は、リフォーム済みの戸建でファミリーが住める広さの物件であれば、どんなに田舎でも5~6万円/月はもらえます。よって年間の賃料収入は60~72万円/年となり、利回りを10%とすると入札価格は600~720万円となります。そのため、実需向けの市場価格が500万円を切るような物件だと、買取再販を目的とする不動産会社やハウスビルダーを跳ね除けて、落札できる確率がぐっと高まってくる筈です。

 最後は、居住目的の場合です。個人が居住目的で入札する場合は、他のケースとは全くロジックが違って、自分の資力がベースになります。例えば、手元に500万円あってローンによりあと2千万円を引っ張れる場合、大抵は、2,500万円に近い金額が、物件の入札価格になります。エリアや立地、広さと言った条件を満たしていて、どうしても欲しいという物件があったら、市場価格より高かったとしてもこれに近い金額で札を入れるでしょう。結果として、市場価格より何割も高く落札されることになり、まさに他の競売参加者の追随を許さない状況になります。

 ただ実際は居住目的で競売に参加する人はあまりいないと思います。個人で落札している人の殆どは投資目的ではないでしょうか。やはり、競売に出た物件に住むというのは、幾ら得するから、リフォームするからと言って、あまり気分の良いものではありません。特に日本人は手垢のついていない新品が好きなので、ごみが散乱するボロ物件でも自分で直して住めば良いと割り切れる人は少数派だと思います。日本人の価値観が大きく変わって、そのような人が増えない限り、大きな脅威とはならないでしょう。

入札前にBITをチェックすべき理由

 今回は自らの経験も踏まえて、不動産競売におけるちょっとした落とし穴について、書いてみたいと思います。不動産競売の入札に参加する時、まずはどの地域でどんな物件が出ているのかをチェックされるかと思います。

 かつては裁判所に直接足を運んで閲覧するか、情報サービス会社にお金を払わないと入札情報を取得することができなかったと言われています。
そのことが競売参加の大きな障壁の1つになって、今ほど競争が過熱していなかったという良い面もありましたが、年配の人に聞くととにかく手間と時間がかかって大変だったようです。

 今では競売不動産に関する専門サイトがあるので、PCやスマホがあれば、どこにいても無料で入札情報を調べることができます。
代表的なのは、BITと981です。BITは不動産競売物件情報サイトのことで全国の裁判所が導入しています。一方、981は一般社団法人の不動産競売流通協会が運営する競売不動産検索サイトです。

 さて皆さんは、競売に出ている物件について調べる時、どちらのサイトを利用されますか。両者について比べると、981は検索性が高いのが大きな特長です。BITもサイトがリニューアルされてだいぶ見やすくなりましたが、沢山ある物件の中からスクリーニングする時は981の方がまだやりやすいです。また、981では有料会員になると、類似の過去落札事例など、より付加価値の高い情報を取得することができます。

 そのようなこともあり、入札前の物件調査では多くの人が981を利用されているのではないでしょうか。ですが、冒頭でも書いた通り、入札前に981だけを
見ていると思わぬ落とし穴があります。そうです。取り下げに関する情報です。申立債権者がその申立てを撤回することを取り下げと言いますが、残念ながら、取り下げに関する情報は981では紹介していません。いや、ひょっとしたら密かにどこかに掲載されているのかもしれませんが、少なくとも多くの人が普通に見るような場所にはありません。

 こればかりは検索性が悪くても、BITを見なければ分からないのです。BITでは取り下げになった事件は、ほぼリアルタイムでその旨が掲載されています。981だけ見ていると、既に取り下げられた物件に札を入れてしまう可能性があります。そうなると、完全に徒労に終わることになります。取り下げになった事件については、裁判所の執行官室にも番号が掲示されていますが、よほどの近所でないとそれだけのために足を運ぶ気にはならないでしょう。

 さて、競売を取り下げられる最終期限は、売却代金の納付までとされていますが、開札後は最高価買受申出人(買受人)と次順位買受申出人の同意が必要なので、申立人の意思のみで取り下げられるのは、開札日の前日までとなっています。

 ですので入札が始まってからも、取り下げが行われます。と言うより、入札が始まってから業者が債務者に任売を持ち掛けることが多いため、寧ろ、入札期間中に続々と取り下げになる事件が出てきます。このような事情もあり、入札時にはBITでの最終チェックも大事ですが、そもそも提出を早くしすぎるのも考えものです。

 あとは、取り下げになりやすい事件というのもあります。例えば、入札者から見て分かりやすいのは居住者がいる物件です。このような物件は、リースバック物件としての転売を出口にして、任意売却がなされる可能性があります。

 私も過去、入札した事件が取り下げになっていて、後日レインズを見たら、その物件がリースバック物件として出ていたことがありました。基準価格が約300万円でしたが、リースバック物件になって700万円で売られていました。少々の指値が利くようであれば買付を入れようかとも思いましたが。そうこう考えているうちに売れてしまいました。人は皆、だいたい同じようなことを考えるものです

 リースバック物件はリフォームや客付けが不要なので食指が動きますが、取り下げの可能性があることも頭に入れておかないといけません。折角手間暇かけて
調べたのに取り下げになってしまうと、どっと疲れが出てきます。ですが、取り下げ可能性の見極め、提出を早くしすぎない、BITでの最終チェックの3つを頭に入れておけば、このような事態はかなり回避できる筈です。

個人投資家が競売で狙うべき物件とは?

 他のコラムでも書きましたが、不動産の競売は一都三県を中心に競争が過熱しています。また、そうなってからだいぶ経ちますが、残念ながら沈静化の兆しは全くありません。少し前までは東京を中心にしてドーナツを描いた時に、ドーナツの輪の部分に位置するエリアが入札の狙い目だと言う人もおりました。

 具体的に言うと、千葉県で
あれば柏や成田、茂原など、埼玉県であれば川越、東松山、上尾など、神奈川県であれば鎌倉や平塚、小田原などです。しかし今では、これらのエリアでも競争が熾烈化しており、条件が良い物件だと30本以上の札が入ることも珍しくなくなりました。落札価格も基準価格の2倍、3倍は当たり前で、中にはそれを上回る高値で落札されるケースも出てきました。

 今回は、一都三県に住んでいる個人の不動産投資家の目線で、このようなシビアな状況下にあっても、収益物件として落札を狙える物件のセグメントについて考えてみたいと思います。まずはエリアですが、ドーナツの内側は論外にしても、ドーナツから離れすぎると今度は管理が難しくなるので、まずは上記で書いたようなドーナツの輪の部分のエリアで粘ってみたいと思います。

 次に物件のタイプですが、競売の場合、主な選択肢は区分マンションと戸建になりますが、基本的には両方あり得ると思います。但し、区分マンションは
他のコラムでも書いたように管理費と修繕積立金が固定費として控除されるので、利回りの追求という観点で見ると、戸建よりは優先度が落ちるかと思います。

 因みに、競売でもアパートや1棟マンションがたまに出ていますが、最近の落札結果を見ると、これらは買取再販業者がかなりの高値で落札しています。
個人投資家にとってうまみのある価格で落札するのはほぼ困難となっていますので、最初から手を出さない方が賢明だと思います。

 以上の結果を踏まえると、第一優先が地方×戸建、第二優先が地方×区分マンションとなりまずが、これだとまだ芸がないですし、そもそもハウスビルダーや
買取再販業者との競争を回避することができません。彼らとの競争を回避するという観点で、もう1つか2つ軸が必要です。

 彼らが積極的に札を入れてこない物件としては、居住中の物件が挙げられるかと思います。彼らは足の長い物件を敬遠する傾向にあるので、立退きに時間が
かかりそうな場合は札があまり入りません。つい最近もある物件に札を入れましたが、その物件はボロボロで空き家だったので、勝ち目がありませんでした。家屋を解体して更地にして売る、または、家を建てるということを短期間でできるので、ハウスビルダーや買取再販業者が総力を挙げて仕掛けてきます。

 事実、この札を入れた物件の落札価格は、基準価格の3倍近くで、ほぼ市場価格に近い価格でした。落札者の属性は法人とありましたが、恐らくハウスビルダーでしょう。彼らは土地で利益を取れなくても、建築の工程で利鞘を抜けるので、強気の価格で札を入れることができます。

 あとは価格帯ですが、安い方が狙い目です。致命的な欠陥がある場合は避けないといけませんが、目安としては基準価格が300万円以下の物件です。どんなに田舎の方に行っても、例えば、木造2階建で広さ30坪の家であれば、6万円/月で賃貸に出すことができます。年間だと72万円の収入になります。管理費で5%、修繕積立金で5%かかったとしても、65万円/年を手元に残すことができます。利回りの計算式で言うと、分子が65万円なので、純利回りを10%としても650万円まで投資することができます。

 ここで先ほど条件として挙げた「居住中」が強みを発揮します。居住中の場合は、上手くいけば債務者にそのまま住んでもらって賃料をもらう、いわゆる
リースバックを適用することができます。リースバックの場合はリフォームや残置物の撤去が不要なので、入札価格をそのまま650万円とすることができます。

 基準価格が400万円とか500万円の場合は、入札価格が650万円では落札は難しいかもしれませんが、200万円とか300万円、或いはもっと下の価格帯の物件
になると断然、勝ち目が出てきます。つい最近の話ですが、基準価格が167万円の居住中物件に入札した時は、落札価格が261万円でした。私は245万円で入れていたので惜しくも落札できませんでしたが、基準価格が100万円台だと落札価格も十分安く収まることが確認できました。因みに、この物件を落札できてリースバックもできていたら、利回りが25%となり、今の時代では珍しい超高利回り物件になります。

 さて、ここまで良い話ばかり書いてきましたが、このような場合にも注意すべき点はあります。そうです、リースバックが外れた場合です。その場合、リフォームや残置物の撤去をした上で、入居者を募集しないといけません。お金だけでなく時間もかかりますし、利回りもぐっと下がります。それでもまだ賃貸に出せる場合は良いですが、再生コストが新築と変わらないような場合は、解体して更地にするしかありません。法人であれば、それも有効な出口になる可能性がありますが、個人の場合は5年間は譲渡益課税の税率が4割と高いので、直ぐには売り辛いです。

 このような落とし穴もあるので、リースバック狙いの場合は、それが外れてリフォーム/募集しても、相応の利回りを確保できる見込みがあることを
確認しておくことが大切です。
お問い合わせ
ページの先頭へ