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儲かる不動産物件を見つけるための法則

INDEX

・ただ同然の土地で、爆益を儲けた人の話
・手のかかるクセ物件にこそ、お宝の山あり
・工事業者こそ、買取再販に参入すべき
・枯れた市場で密かに儲けた人の話

ただ同然の土地で、爆益を儲けた人の話

 YouTubeにただ同然で仕入れた土地を高値で売って大儲けをした不動産屋さんの動画がありましたが、自分の周りでも似たような話を聞いたことがあります。

 1つ目ですが、ある地主が郊外に広大な土地を持っていました。ただ、殆ど人が住んでいないような場所で、宅地としての需要もないような場所でした。しかし、何千坪という広さだったので、固都税が毎年何十万円もかかっていました。そんな状況なので、その地主はただでも良いからその土地を手放したいと思っていました。
 
 一方でその頃、太陽光発電のための用地を探している事業者がいました。地域や立地は不問で、駅からどんなに遠くても、人が住めないような場所でも構わないから
探して欲しいと言われていました。

 そして、この2人をうまく結び付けることにより、間に入った不動産屋が莫大な差益を得ることができたという話です。ただ、郊外に土地を持つ地主を売主、太陽光発電の用地を探している事業者を買主として仲介をしてしまうと価格が合いませんので、間にクッションを挟んで売買を行ったようです。クッションの詳しい内容までは聞いていないのですが、そこにも多少のテクニックはあったことでしょう。ただ、そこは今回の本質ではありません。

 さて、2つ目も似たような話ですが、その人の場合は、買い手が物流センターの用地を探していました。あとはだいたい同じですが、1つ目のケースよりも
土地の面積が広く、地権者も何人かいたので、時間をかけて地上げをしていったようです。

 いずれもそうですが、ただ同然でも良いから不動産を手放したい人と、その不動産をただ同然以上のお金を払ってでも取得したい人の両方が存在して、成立しているモデルです。そして、爆益につながるモデルだけに、難度はかなり高いです。

 前者については、ただ同然の土地を持つ地主というのは、世の中に五万といます。しかし、売ってもらうとなると話が違ってきて、簡単ではありません。先祖伝来の土地だから、幾らお金を積まれても売らないという地主もいることでしょう。その意味では、2つ目の話に出てくる不動産屋さんは、かなり物上げに長けた人だったと思います。

 後者については、マーケティング的な難しさがあって、どんな事業者がそのような土地を探しているか、を突き止めるところが大変です。
太陽光発電は、以前に流行っていた頃は高利回りが期待できる投資でしたが、今は買取価格が下がってしまって、そうでもありません。物流センターは今でも需要があると思いますが、その用地を探している事業者となると数も限られていますし、チャネルを作るだけで大変です。

 直ぐに実行に移せるテーマではないですが、頭の片隅にも置いておけば、新たな引き合いや新しいブームがあった時に、ひょっとしたらこのモデルが成り立つのではないかと勘が働いて、爆益の獲得につながるかもしれません。

手のかかるクセ物件にこそ、お宝の山あり

 買取再販を中心に手掛けている宅建業者の中には、瑕疵物件の買取を専門に行っている業者がいます。彼らは町の不動産屋にも積極的に営業攻勢をかけており、弊社にもよくFAXやメールで「クセ物件買い取ります」というチラシが入ります。瑕疵とは簡単に言うと欠陥のことです。瑕疵物件は、物件のどこかに欠陥を抱えているため、市中相場よりもかなり安い価格で買うことができます。

 しかし、宅建業者の強みを活かしてひと手間かけると、通常の物件と同じ、或いはそれ以上の価格で売却することができることもあるため、その場合は利鞘を
抜くことができます。また、手間がかかる分、皆が皆そのような物件を狙っている訳ではないため、通常の物件に比べると競争が少ないのも魅力の1つとなっています。

 では、彼らの買取の対象となるような瑕疵物件には具体的にどんなものがあるのかについて、幾つかの例を見ていきたいと思います。

 1つ目は古家付き物件です。古家とは、築年数の経過により価値がなくなった戸建の住宅のことを言います。築何年という具体的な基準はありませんが、木造住宅の法定耐用年数は22年なので、それ以上経っていると古家にされることが多いです。先ほども書いた通り、古家はそのままでは居住するのが難しいので再販するためには、リフォームをして住めるようにするか、解体して更地にする必要があります。

 物件の状態にもよりますが築30年を超えると、リフォームよりも解体して更地にするケースの方が多いのではないでしょうか。いずれにせよリフォームや解体を安くできれば、再販した時にその分だけ差益を得られるので、買取業者にとってはそこが狙い目となっています。古家付き物件は、瑕疵物件の中でも取り扱いがしやすく市場に流通する数も多いので、専門業者に限らず弊社のような町の不動産屋でも、普通に取り扱っているのではないでしょうか。

 2つ目は共有名義物件です。不動産の登記簿謄本を見ると、所有者の横に「○分の○」という記載があるのを見たことがあるかと思います。これらは皆、共有名義物件です。共有名義物件では、物件全体を誰かに売ろうと思ったら、共有者全員が承諾しないと売ることができません。しかし、自分の持分だけであれば、他の共有者の承諾がなくても売ることができます。

 不動産を売って現金にしたいけれど他の共有者が首を縦に振らず、思うように進まないような場合に、持分だけでも買い取りますと持ち掛けてきます。
共有持分の売却相場は市場価格の1/3~1/2と言われており、かなり安く買い叩かれますが、それでも手早く現金を手にすることができるので、売主としては悪い話ではないのです。

 一方、業者の方は共有者の1人から持分を買い取ると、それを取っ掛りに他の共有者にも持分の買取を持ち掛けていきます。全ての持分を買い取れないと意味が
ないのですが、共有者の1人となった彼らには「共有物分割請求」という伝家の宝刀があります。これは、共有となっている不動産の共有状態を解消するための請求のことです。話し合いによりまとまらない場合は訴訟となり、さらに価格賠償や現物分割が難しい場合は換価分割といって、競売により売却しその対価を分け合うことになります。

 競売になると市場価格よりだいぶ安くなってしまう可能性もありますし、そもそも競売になること自体で体面に傷がつくので、業者が提示した価格での売却に
応じるケースが多いのではないでしょうか。こうして全ての共有持分を手中に収めた業者は、物件を市場価格で転売し、取得時との差分が彼らの儲けになります。

 3つ目は借地権付き建物です。借地権というのは簡単に言うと、建物の所有を目的に土地を借りる権利のことです。地方ではあまり見られないですが、都心ではよく見られます。一般的な住宅地では、土地部分については所有権価格の約6割と言われており、建物と合せたトータルでもかなり安く買うことができます。業者がこのような物件を買った場合は、地主から底地権も買い取り、所有権の物件として売却します。土地に借地権が設定されている時に、その土地の所有者が持っている土地所有権のことを底地権と言います。

 借地権、底地権のいずれも、市場価格よりかなり安く買えますので、市場価格で売却すれば相応の利鞘を抜くことができます。底地も先ほどの共有持分と同様、
一般市場では単体で売るのが難しいため、買取を持ち掛けると応じてくれるケースが多いようです。

 最後は旗竿地です。旗竿地は他のコラムでも触れましたが、細い路地とその奥にある土地をセットにした土地のことを言います。細い路地や接道間口の長さにも
よりますが、同じ面積の整形地よりはだいぶ安く買うことができます。業者が旗竿地を買う時は、そこに隣接する土地(旗の下部分)も手中に収めることを目論んでいます。両者を合せると整形地になるため、旗竿地だった部分の地価が跳ね上がり、その分差益を得ることができます。

 これでなぜ彼らが瑕疵のある物件を欲しがるのか、その「からくり」がお分かりになったかと思います。1つ目の古家付き土地は出口の見通しを立てやすいですが、
2つ目以降は初めの一歩が上手くいっても次でつまずくリスクも孕んでおり、簡単ではありません。ですが、このような所にこそお宝の山が眠っているのです。

工事業者こそ、買取再販に参入すべき

 他のコラムでも書いたように、昨今はマンション価格が上昇していることもあり、不動産の買取再販が熾烈化しています。長期優良住宅化リフォーム補助金など、政府の打ち手もこれを後押ししています。弊社にも、メールやFAXで毎日何通、何十通も「買取をさせて下さい」というチラシが入ってきます。

 ここまで競争が激しくなるのは、冒頭で書いたような外部環境によるのもありますが、もう1つは買取再販が不動産ビジネスの中でも高収入が期待できるビジネスだからでしょう。

 仲介の場合は、宅建業法により報酬の上限が決まっているので、物件価格が相当高くないと報酬もたかが知れています。報酬の上限は「物件価格×3%+6万円+消費税」ですが、これだと例えば2,000万円の土地の売買を仲介しても、報酬は72.6万円です。両手仲介であれば報酬はこの2倍の金額ですが、それでも150万円弱です。一方で、同じ土地を1,700万円で自分が買い取って2,000万円で売ることができれば、不動産屋の利益は300万円になります。

 一般個人の方は、そんなことができるのかと思われるかもしれません。ですが、できるのです。不動産は工業製品と違って、同じものはこの世の中に2つと存在しないので、査定価格も人によって大きく違ってきます。ということで、同じ土地であっても、仲介をするか買取再販をするかで、不動産屋に入るお金が何倍も変わってくるのです。だから、不動産屋は皆、できれば仲介よりも買取再販をやりたいと考えているのです。

 このような背景もあり、不動産業界を横目で見ている他業種からも、今後は新規参入が活発化していくと予想されます。いや、既に活発化しているかもしれません。具体的には、次のような業種からの積極的な参入が予想されます。

 例えば仲介ですと、老人ホーム紹介業はシナジーが高いです。詳しくは他のコラムでまた書きたいと思いますが、このビジネスでは老人ホームを紹介された
お客さんが一人暮らしだった場合、それまで住んでいた家屋が空き家になってしまいます。そのため、その家屋が売りに出されることが少なくなく、そこに買取再販が上手くはまるという訳です。

 一方で買取再販は、リフォーム業や解体業とのシナジーが高いです。両方ともそうですが、自社でリフォームや解体の工事ができるので、不動産屋が外部に
委託してやるよりも安く行うことができます。なので、その分だけ価格競争力が高まるのです。「買い取って、工事をして、再販する」という流れの中で、不動産屋がやるよりも工事のところで利益を確保できるのが彼らの大きな強みです。
 
 このように彼らは物件を不動産屋より高値で買っても、所与の利益を確保することができます。因みに、買取再販業者の粗利率は1~2割、物件によっては1割を
切ることも珍しくなくありません。買取再販業者は、傍から見ると大儲けしているように見えるかもしれませんが、実際はそうでもありません。利幅は小さくても、買って工事して売ってというサイクルを高速回転させることで、一定の利益を確保できれば良いという考え方でやっています。このような環境下で、リフォームや解体をより安くできることのメリットは極めて大きいのです。

 とはいえ他業種への参入なので当然ハードルがある訳ですが、宅建業の場合はさほど高くありません。いや寧ろ低いと言った方が良いでしょう。
主なハードルは次の2つです。1つは宅建業免許の取得、もう1つは開業資金の準備です。

 まず1つ目ですが、宅建業は免許制となっているので、免許をとらないことには始められません。免許を取るには、最低でも1名の宅建士が必要です。
既存の社員に宅建士の資格を取らせるのは結構大変ですし、時間もかかってしまうので、有資格者を新たに雇う方が早道でしょう。

 次に2つ目ですが、免許を取った後開業するには営業保証金の供託または保証協会への加入が必要となります。後者でもお金がかかって、弁済業務保証金分担金
や入会金の負担が必要です。前者は1,000万円も必要なので、通常は後者を選びます。後者だと弁済業務保証金分担金が60万円で入会金が10万円弱なので、合計でも70万円弱で収めることができます。

 なお、資金力があれば、宅建業者のM&Aという手もあります。今後、後継者問題などにより、業績が良くても売りに出る宅建業者が増えると言われています。
以上から、宅建業者がリフォーム業に参入するのに比べるとずっと簡単だということがお分かりかと思います。参入障壁が低くて、シナジーが高く、競争力も確保できるのだから、やらない手はないだろうというのが私の見立てですがいかがしょうか。

枯れた市場で密かに儲けた人の話

 唐突ですが、「残存者利益」という言葉をお聞きになったことはありますか。マーケティング用語の1つで、「過当競争や収小傾向にある市場において、競争相手が撤退した後で生き残った企業のみが市場を独占することで得られる利益」のことを言います。簡単に言うと、その市場で最後に残った者が利益を独り占めするということです。

 代表的な例としては、①インスタントカメラ市場における富士フィルムや、②レコード針市場のナガオカ、③電卓市場のカシオなどがあります。
1つ目のインスタントカメラは、デジタルカメラが普及する中で売れ行きが低迷し、コダック等の競合が相次いで撤退しましたが、富士フィルムだけが販売を続けて、年間1,000万個を販売するまでになりました。

 2つ目のレコード針は、CDやインターネット放送の普及でレコードが売れなくなったため、販売を大幅に縮小したものの、レコード針は消耗品であったため、
なくなることはなく一定の市場が残り続けました。このような中、ナガオカはレコード愛好家たちにレコード針を販売し続けて、世界市場の約9割を占めることができました。

 3つ目の電卓は、ピーク時には40社以上が参入して激しい競争を繰り広げましたが、その後にExcelなどPCの表計算ソフトの普及により、競合が相次いで撤退しました。
一方、カシオは設備投資を続けて、ダウンサイジングとコスト削減に成功し、世界市場の約半分のシェアを獲得することができました。

 さて、他業界の事例が長くなりましたが、不動産業界でも残存者利益を得る機会というのは少なからずあると思います。これはほんの一例ですが、ある人から月極駐車場の運営について話を聞く機会がありました。この話は今思うと、まさに残存者利益を獲得した話でした。

 その方の経営する月極駐車場は、最寄り駅から約30分とかなり離れた住宅地にありました。そのような場所なので住宅地と言っても、空き地が結構あり、砂利敷き
の月極駐車場として使われていました。また、駐車場の数が多いので競争も激しく、賃料を上げるのはなかなか難しい状況にありました。その方が月極駐車場を始めてから暫くはそんな状態が続いていましたが、あることをきっかけに状況が変わっていきました。

 その駐車場の近くに新駅ができることが発表されたのです。これにより地価がぐんぐん上昇し始め、それまで駐車場だった土地が住宅地に置き換わっていきました。周囲にあった駐車場はどんどん消えて、気が付くと近所にはその人の駐車場しか残っていないという状況になりました。かつては駐車場に空きが目立っていましたが、今では常に満車という状態です。また、契約者の入れ替わりのタイミングで、賃料を高くしても直ぐに埋まるようになりました。

 今振り返っても、まさに残存者利益を獲得した典型的な事例だと思います。周囲の月極駐車場のオーナーは、地価が上がって土地が高値で売れるようになったので、早々に土地を売って利益を確定してしまいました。しかし、差し迫った理由がないのであれば、売り急ぐのはあまり得策とは言えません。月極駐車場として刈り取りをしっかり行って、もう十分となってから売っても全然遅くはないのです。売買の場合も同様で、土地が多く流通している時よりも、少なくなってからの方が当然価格は高くなります。ですから、駐車場を売り急がなければ、インカムゲイン、キャピタルゲインの両方でより多くの儲けを確保することができたのです。

 ところで、この事例の場合は、残存者利益を手にするまでかなり時間が掛かっています。それこそ、何十年という時間を経ています。
ですが見方を変えれば、プレーヤがいない所を狙って参入することでも、同じような状況を作ることができるでしょう。いわゆるブルーオーシャン戦略です。但しこの場合は、ニーズの確認が大事です。誰もいないのはニーズがないからということも多々あります。ビジネスをやる時は兎角新しいものに注意を奪われがちですが、こういう枯れた処でも密かに儲ける方法があるというのは目鱗でした。
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